新型コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。 山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ画像出典:PIXTA(空沼岳山頂付近)
空沼岳とは?

出典:PIXTA(空沼山から見た札幌市街地)
標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1250.8m | 北海道札幌市南区簾舞 | 17.9℃ | 4℃ |
北海道札幌市にある標高約1,251mの山、空沼岳。山頂付近は支笏洞爺国立公園のエリアでもあります。周辺に点在する沼の一つ「空沼」が空沼岳の名前の由来。山は「そらぬま」と読みますが、沼は「からぬま」と読むのも面白いですね。市街地から車で40分程とアクセスしやすいため、登山やハイキングで訪れる人も多く、札幌近郊で人気の高い山の一つ。
空沼をはじめとする大小6つの沼

出典:PIXTA(真簾沼)
空沼岳には空沼をはじめ大小6つの沼が点在しています。空沼には残念ながら登山道が通っていませんが、他のいくつかの沼は登山をしながら見られます。
万計山荘から山頂への道中にある「真簾沼」はとても大きく、晴れた日には空の青が水面を青く染め上げる美しい沼。秋には絵画のような紅葉が美しいと評判で、夏季シーズンとはまた違った顔を楽しむ事ができます。

出典:PIXTA(万計沼)
真簾沼の他にも登山道が通じている沼としては「万計沼」や「青沼」があります。万計沼はちょうどコース中盤に位置し、北海道を南限とするサケの一種「オショロコマ」の貴重な生息地としても知られています。沼ほとりには万計山荘があり、周辺にはベンチなども設置されているため、多くの人が休憩スポットとしても利用。
青沼は万計沼へ向かう途中の分岐から訪れることができますが、とても小さな沼。時間に余裕があれば訪れてみるのも良いかもしれません。
山頂付近ではエゾシマリスの姿も

出典:PIXTA
運が良ければ空沼岳の山頂付近でエゾシマリスの姿を見ることができます。人間に慣れているため、近づいてくることもあるかも?! 可愛らしい姿に癒されますが、エサは与えないようにしましょう。
天気と地図も必ずチェック!
空沼岳に登る前に天気予報を調べておきましょう。また、自分が登るルートも地図で確認してから出発してください。
てんきとくらす|空沼岳 ITEM
山と高原地図 ニセコ・羊蹄山 暑寒別岳
空沼岳を登る際の注意点!
標高が1,200mほどなので、いわゆる普通の低山と思っていると大変なことに!ここでは、空沼岳登山で注意しなければならない3つのポイントを紹介します。
沢沿いの道多数!増水している場合は特に注意

出典:PIXTA
空沼岳登山では沢沿いのコースを歩くため、登山道全般的にぬかるんでいることが多いのが特徴的。難易度はそれほど高くないものの、渡渉も何回かあるため、夏でも長ズボンやスパッツを着用するのがおすすめです。雨が降ると増水する場合があるため、天気予報は必ずチェックしましょう。また、滑りやすいので転倒にも注意。
虫も多数!虫除け対策もしっかりと!

出典:PIXTA
空沼岳は水が多いせいか、虫が多いと言われています。虫除けスプレーなどしっかり対策をしましょう!
周辺はヒグマの生息地。準備はOK?

出典:PIXTA
空沼岳周辺はヒグマが多く生息しています。クマ鈴や熊スプレーなど事前に熊対策をしっかりしましょう。
沢道を登るメインルート【万計コース】
合計距離: 17.45 km
最高点の標高: 1210 m
最低点の標高: 329 m
累積標高(上り): 1341 m
累積標高(下り): -1341 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間5分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
ルート概要
空沼登山口(20分)→入山ポスト小屋(100分)→万計沼(45分)→真簾沼(25分)→札幌岳分岐(20分)→空沼岳(10分)→札幌岳分岐 (15分)→真簾沼(30分)→万計沼(80分)→入山ポスト小屋(20分)→空沼登山口
空沼岳登山のメインルート「万計コース」を紹介します。見応えある万計沼や真簾沼を経由し、山頂まで登る片道約8km・3時間半のコース。概ね緩やかですが、全般的にぬかるんでいるのが特徴。

新緑の緑に覆われたところに、国立公園の木製立て看板と記帳簿のある丸太小屋があります。届けを書いたら出発です!さっそく、丸太の橋を渡ったり、橋の架かっていない沢を渡ったりと冒険が待ち構えていますよ。

もう登山道に入っていると思いきや、ここでようやく登山口の看板。駐車場からは距離数百メートルほど。届けを出した丸太小屋からもそれほど距離はありません。

序盤は樹林帯歩き。せせらぎを耳にしながら涼しげな沢沿いの道を歩いたり、緑生い茂る森の中を気持ちよく歩けます。ところどころに木道で整備された道や、万計山荘までの距離が書かれた標識もあります。雪解けが残っていたり、雨天後は登山道がぬかるんでいることも多し。小さな沢や倒木も至る所にあり、まさに自然のアトラクション!

出典:PIXTA
シダが生い茂り、苔むす鬱蒼とした森の中を歩いていると、スタートから4kmほどのところで万計沢川の急流に掛かる有名な木製の橋に辿り着きます。よく橋が流され、その度に新たな橋が架かることで知られている場所でもあります。

出典:PIXTA
橋を越えてしばらくすると滝の姿が!滝の横の高巻きを登り詰め、沼が見える開けたところへ進んでいきます。この滝を越えるともうすぐ万計沼です。

万計沼の畔には、木造2階建てで立派な佇まいの万計山荘があります。有志により管理されており、基本は無人小屋ですがシーズン時の土日は管理人が在中しています。ちょうどコース中間ということもあり、休憩やトイレ利用で訪れる登山者が多い小屋。トイレには維持協力金の募金箱も設置されています。

万計沼は標高910mに位置しており、万計山荘と空沼小屋の2つの山小屋があります。万計山荘前にはベンチやテーブルが置かれた休憩スペースが設けられているので、一息つくことができますよ。空沼小屋は北大所有の山小屋。改修を終え、2017年に開放されたばかりです。一般の人も宿泊が可能。

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万計沼から山頂までは残り3.5km。その道中ちょうど中間辺りに真簾沼があります。真簾沼までは道がぬかるんでいる事も多く、歩くのも一苦労。笹薮の間を走る道を一歩一歩突き進めば、真簾沼に到着。標高1,000mにある沼とは思えないほど大きな沼が一面に広がっています。

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真簾沼から山頂まで、ガレ場や大きな岩がゴロゴロした斜面を登って行きます。さらに雪解けの水によって地面が濡れているときは、滑りやすくなっているのでより一層の注意を。札幌岳への縦走コース分岐点を越え、最後の急登を登り詰めれば山頂です。

山頂はゴツゴツした岩が連なっておりそれほど広くはありませんが、360度の大展望が迎えてくれます!岩に腰掛け、雄大な景色を楽しみながらのお昼ご飯は格別ですよ。

好天であれば、西側に日本百名山で蝦夷富士とも称される羊蹄山の秀麗な姿を望むことができます。その反対方向に目を向けると、札幌市街がくっきり。北側にはお隣の札幌岳の姿が見えます。南方に目を向けると、空沼岳より少しばかり背の高い恵庭岳や大きく広がる支笏湖、支笏湖対岸にそびえる火山の樽前山が目に飛び込んでくるでしょう。
空沼岳の山小屋情報
万計山荘

ボランティアで活動する「万計山荘友の会」によって維持されています。小屋は無人ですがキレイに清掃されているため、気持ちよく宿泊できますよ。冬も薪ストーブが使えますが、使った薪は小屋の下から補充しておきましょう。
空沼小屋

一時閉鎖されていました「空沼小屋の保存を考える会」が発足し、2017年に再開に至った山小屋。使用の3日前までに予約が必要となっています。
北海道大学|山小屋空沼岳へのアクセス情報
空沼岳へのアクセス方法を紹介します。車と公共交通機関のどちらでもアクセスが可能です。
クルマの場合
・道東自動車道「恵庭」ICー道道117号ー国道453号ー空沼岳駐車場
・道央自動車道「札幌南」ICー道道1138号ー道道341号ー国道453号ー空沼岳駐車場
公共交通機関の場合
市営地下鉄南北線「真駒内」駅下車、中央バス「空沼」線乗車ー「空沼登山口」下車ー空沼岳登山口
※土日・一部の期間以外は空沼二股までの運行のため注意
中央バス|時刻表下山後の入浴情報

出典:PIXTA
空沼岳のぬかるみで汚れた体をキレイにするならやはり日帰り湯。ここでは下山後に立ち寄れる入浴情報をご紹介します。
札幌保養センター駒岡
登山口から車で20分ほどの所にある、レストランや売店も兼ねそろえた宿泊もできる日帰り入浴施設。パークゴルフや、焼き肉、ガイド付きのスノーシュー体験もできるなど幅広く楽しめることが魅力です。
札幌保養センター駒岡|公式サイト 真駒内駅かあら徒歩8分ほどの場所にあります。レトロな雰囲気がただよう昔ながらの佇まいが魅力です。お湯は少し熱めのラジウム浴泉で、スチームサウナも備えています。
北海道公衆浴場業生活衛生同業組合|真駒内湯札幌の山といえば空沼岳!

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札幌から40分とアクセスも良く、全体的になだらかな登山道が続くため初心者にもやさしい空沼岳。道中の万計沼や真簾沼をはじめ、山頂からの360度の眺望など、さまざまな美しい風景を楽しむことができます。札幌観光と一緒に、絶景の詰まった空沼岳へ!
【登山時の注意点】 ・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。