呼吸法も重要なポイントです。いつもは無意識に呼吸をしているかもしれませんが、高所では意識的に呼吸することで効率的に酸素を取り込むことができます。休憩時にはゆっくりと深呼吸をするように呼吸し、歩いている間は歩調に合わせて意識的に呼吸をしましょう。
②途中から力が出ない…
山を登る前は元気いっぱいだったのに、しばらく歩いたら体が鉛のように重くなり、動かなくなった、歩く気力がなくなった、という経験はないでしょうか。この状態がひどくなると、いわゆるハンガーノックという状態に陥ります。
重要なエネルギー源は“グリコーゲン”
私たちは体を動かす時、ミトコンドリアという器官からエネルギーを作り出しています。その主要なエネルギー源となっているのが、体内に蓄えられたグリコーゲンという物質です。車に例えるならグリコーゲンはガソリンの役割を果たしていると言えます。
このグリコーゲンですが、糖質を摂取することで体内に蓄えることができます。しかしその貯蔵量には限りがあり、2000kcalしか蓄えることができません。どのくらいの量かというと、3時間も歩けば完全に使い切ってしまうくらいの量です。グリコーゲンが枯渇することでエネルギーを作れなくなり、疲労の原因となります。
グリコーゲンの他に脂肪もエネルギー源になるのでは、と思う方も多いかもしれませんが、脂肪はグリコーゲンと一緒でないと使うことができないのです。そのため登山ではグリコーゲンは重要なエネルギー源といえます。
対策:こまめに食事をとろう!
登山は何時間も重い荷物を背負いながら歩き続けるので、登る前にグリコーゲンを完全に蓄えていても必ず途中でなくなってしまいます。そのため、食品からこまめにエネルギー源となる糖質を摂取することが重要です。山へ行くときは、食べ物をしっかり準備していきましょう。
また、お米には糖質が豊富に含まれています。登山に持って行く食事の定番・おにぎりは、まさに理にかなった食べ物といえるでしょう。
▼自分がいく山には、どれくらい持っていけばいいの?
▼買い忘れてもコンビニで準備できる!
③汗をかいて喉がカラカラ!
山を登っていると暑くて汗をかきますよね。汗をかくということは体内の水分が出て行くということ。出ていった分はしっかりと補ってあげましょう。
体内の水分の減少により運動パフォーマンスが減少することはよく知られています。水分補給を行わないと血液量が減少し、心拍数や体温が上昇してしまい、これが疲れの原因となるのです。
対策:こまめな水分・塩分補給を忘れずに!
対策としてはやはりこまめに水分補給を行うこと。しかし、水だけ飲むのはよくありません。
汗には、神経で重要な働きをするナトリウムも含まれています。汗でナトリウムが出て行ってしまうと、吐き気や頭痛、意識障害を起こす低ナトリウム血症という状態になります。それを防ぐためにもナトリウム(食塩)を含む水を摂取するようにしましょう。
食塩の濃度としては0.1〜0.2%くらいが理想。つまり1Lの水に1、2gの食塩を溶かした水ということです。
さらにこの水に砂糖を溶かすことで、水分と同時に糖質も摂取できるので、エネルギー補給にもなります。砂糖を溶かす場合は5〜8%の濃度にすると効率的にエネルギー補給ができます。
スポーツドリンクで代用OK!
塩分濃度は大体どのスポーツドリンクも0.1%程度と、塩分補給に適した濃度になっています。
④暑さ、寒さも疲れに繋がる!
体を動かしているとやはり暑く感じますよね。登山でも日が当たるようなところを登っていると太陽の光でなおさら暑く感じるものです。実は、体に熱を溜め込んでしまうと筋肉や臓器は正常に働きません。そのため、暑さを感じることも運動パフォーマンスの低下に繋がります。特に夏は熱を逃してあげることが重要です。