【ULハイク】テント泊でたった3kg!? 登山装備の軽量化3ステップ

2018/08/04 更新

自由気ままなテント泊。 ただ「荷物が重くて苦しくて…」となると、せっかくの登山も修行モードに。 そこで今回、ロング&スピードハイクを得意とする筆者が、ウルトラライトハイク(以下ULハイク)の装備内容をご紹介します。登山の持ち物を軽量化するための工夫は、既成概念にとらわれないこと!テント泊装備で3kgを実現しているコツを、ぜひ覗いてみてください。


アイキャッチ画像撮影:messiah/三宅 雅也

ULハイクは安全に繋がる!?

北アルプスの登山者
出典:PIXTA
UL(ウルトラライト)ハイクと言えば、「軽量化して重量負荷を減らし、楽にハイクすること」を皆さんイメージしますよね。特に長い時間山を歩いたり、泊まりの装備の『衣・食・住』を持参するとなると、当然、軽い方が楽だと思うのは自然なことです。

笠ヶ岳山頂標識
撮影:messiah/三宅 雅也
筆者は長野県自然保護レンジャーの北アルプス地区を担当しており、特に日帰るのが困難な奥部をメインとし、アルプスの山々を歩いています。槍ヶ岳~笠ヶ岳の日帰りハイク、最奥部である水晶岳ー赤牛岳への日帰りハイクなど、時には50kmを越す長距離ハイクも。その過程で、持ち物の取捨選択も吟味を繰り返し、経験から色々と学んでいきました。

飯豊連峰の稜線を行く登山者
出典:PIXTA
なお、荷物を軽量化することのメリットは楽になることだけではありません。登山の安全性も向上するのです。 軽いことによるバランス性の向上、転滑落リスクの低減、体力消耗の抑制、脚の故障リスクの低減、目的地到着時間の短縮など、メリットはたくさん。

そう聞くと、良いことづくめな気がしますが、もちろんそこにはリスクも潜んでいます。しかし、季節や天気、装備をきちんと選ぶことにより、安全性を確保することができます。では早速、荷物を軽量化するにはどうすればいいのか、手順を見ていきましょう!

自分の持ち物の重さを知ろう!

バックパックの中身
撮影:messiah/三宅 雅也
まずは、筆者のバックパックの中身を紹介します。
商品名重量
①ザックバーグハウス Hyper 37594.5g
②シュラフカバーSOL Escape Vivi234.0g
③マット山と道 Minimalist56.5g
④幕体ストックシェルター244.5g
⑤フットプリント100均アルミマット56.5g
⑥インナーマット100均アルミマット54.5g
⑦ヘッドランプブラックダイヤモンド ION+予備電池77.5g
⑧エアピローハイマウント トランクインレジャークッション93.5g
⑨レインウェアモンベル トレントフライヤー+バーサライトパンツ284.5g
⑩着替え就寝時インナー上下/2日目シャツ・靴下216.0g
⑪防寒着ユニクロ ウルトラライトダウンジャケット233.0g
⑫タオルモンベル/100均97.5g
⑬調理器具ストーブ/クッカー/ライター/箸等415.0g
⑭救急&洗面ファーストエイド/ペーパー等371.5g
total3,030.0g
あらゆるものを吟味しつつも枕などの快適ギアも取り入れ、トータル約3kgの装備に収まっています。テント泊向け50~60Lザックが、それ単体で2~3kgの重量ということを考えると、かなり軽いことがわかります。

装備を見直す際は、まずは現在の自分のギアの重さを知ることから始めます。その前に、“重量”についての考え方を理解しておきましょう。

何の重量を量ればいいの?

ベースウェイト
撮影:messiah/三宅 雅也(筆者のベースウェイト。左:シェルター装備で3.0kg/右:テント装備で3.8kg)
基本的には、重量には以下3つの概念があります。

①ベースウェイト=水、食料などの消耗品を除いたザック重量
②パックウェイト=水、食料を含む、登山開始時のザック重量
③スキンアウト=②に、ウェアやポケット内、すべての装備を合計した総重量

通常、ハイカーの皆さんが気にするのは②パックウェイトですが、水や食料は、泊数・行程の長さ・小屋の多さなどで内容が変化するため、ここでは①ベースウェイトを基に解説していきます。 また、想定時期は「盛夏」、7月下旬~8月末のまさに今です。

自分の荷物をすべて計量!

ギアの重さを測る
撮影:messiah/三宅 雅也
重要な第一歩、まずは現在の自分のテント泊装備のすべてを整理し把握します。カテゴリ別に

・テント関係
・寝具関係
・調理関係
・着替え
・その他

などで分類すると整理し易くおすすめです。 ザックや幕体も対象に、すべてのギアを料理用メジャーや体重計で量り記録します。

軽量化のための大事な3ステップ

すべてのギアを量り終えたら、何が重いのかが見えてきます。ここで重要なのが、軽量化のための下記3ステップ!

①本当に必要なギアかどうか?

アウトドアギア
出典:PIXTA
ザックの肥やしになっている「あったら便利」系のものや過剰な着替え、タオルなどが対象です。実際のテント泊を想像し、かつ過去のテント泊経験を思い出しながら選定してみましょう。使用せず持って帰ってきているものがあるはずです。 ULでは持参ギアのほぼ全てを使用します。(※ファーストエイドなどの必携ギアは選定対象から除外)

②何かで代用・兼用できないか?

撮影:messiah/三宅 雅也 (ザック内蔵の背面パッドが座布団代わりに)
次に兼用出来ないかを検討します。 例えば、テント内照明はヘッドランプで、座布団はザック内の背面パッドで、ウインドジャケットはレインで、レインカバーはシュラフカバーで代用。 筆者の場合、盛夏時はシュラフカバーでシュラフそのものも代用しています。

まずこの①②を吟味することで、かなりの軽量化が可能になります。そして3つ目は最終手段。

③軽量ギアへの切替

撮影:messiah/三宅 雅也 (筆者の新旧ザックとテント。約5kg が 839g に)
最後に、必要と判断したギアそのものの軽量化を検討します。 大幅な軽量化が可能なものは、やはりザックテントに至るでしょう。いずれも簡素になるため、比較的お財布に優しいという嬉しさもある反面、耐久性や快適性、安心感は犠牲になることが多いので、リスクを事前に想像できる、ある程度の経験と知識が必要となります。 また、求めている機能が理解できれば、100均などでも代用可能なものが多くあり、比較的低コストで軽量化が可能となります。


軽量化は経験を重ねた引き算!

ザックを背負った筆者
撮影:messiah/三宅 雅也
筆者自身、以前はパックウェイトにて25kg前後の装備を背負っていました。しかし2012年頃より軽量化を始め、 当初はベースウェイトで8kg程度から始まり、2014年に5.9kg、2015年に4.3kg、2016年に3.3kg、2017年に3.0kgと、徐々に不要なものを見極め、現在に至っています。

テント泊装備
撮影:messiah/三宅 雅也
ここで重要なのは、一気に軽量化を行うのではなく、削れそうなターゲットギアを幾つか選び、まずは実際に携行しテント泊します。 その上で、時期的な条件を鑑みて、次回削っても問題ないかを見極めます。 暑がりな筆者は、盛夏ではシュラフが不要とわかり、500g近い軽量化と省スペース化に至りましたが、実際に時期を変えて数回シュラフを携行した上で、使用せずに眠ることができるかを検証しました。

尚、9月に入ると急激な気温低下の恐れもあるため、シュラフ(479g)を携行します。 それでもベースウェイトは、3.5kgに留まります。

意外とネック!? 着替えの軽量化

着替え
撮影:messiah/三宅 雅也
写真は、1泊のときの筆者の着替えのすべてです。「え?これだけ?」と思うかもしれません。 左2枚は、テント場で過ごす際の着替えのインナー上下です。 身体を拭いたあとにこれらに着替え、穿いていた短パンを着用、翌日用のシャツと靴下でテント場での時間を過ごします。

行動時に着ていたメッシュインナー系は、そばに沢や豊富な水場があれば洗って天日干し、翌日も着用。薄着のため、高い快適性を求めなければ、これで事足りてしまいます。 下界では同じ感覚ではとても過ごせませんが、これも山が持つ魔力でしょう!

目からウロコ?!パッキングのコツ

軽量ギアのパッキングにも、様々な工夫を凝らせば快適に持ち運びができます。ここでは実際に実践している、ハイカーさんには目からウロコな裏ワザをご紹介します。

1. 固定概念を無視!代用すれば色々できる!

パッキングのコツ
撮影:messiah/三宅 雅也
筆者が使用しているザック(容量:37L)は軽量であると同時にフレームレスのため、自立しません。 そこで、スリーピングマットを筒状にしザック内に挿入します。 そうする事で自立し、且つ、荷物がとても入れ易くなります。

Viviをセットした状態
撮影:messiah/三宅 雅也
また、レインカバーを使用しないため、レインカバー兼シュラフとなる「SOL Escape Vivi」を防水袋代わりにセットします。 写真左が袋状に挿入した状態、真ん中は荷物をすべて詰めた状態、右はロールトップで防水にした状態。 食料を入れるための充分なスペースも確保できています。
※降雨の可能性がある場合は、Viviを最初にセットし、その内側にマットを挿入します。

2. シュラフを持っていく場合の裏ワザ

撮影:messiah/三宅 雅也
シュラフを持参する場合は、Viviをザックにセットした後、スタッフサックから出して最下部にぐちゃぐちゃに押し込みます! そうする事で、円筒状では発生してしまう隙間そのものが発生せず、限られたスペースの有効活用が可能となります。写真左のようにシュラフを軽く押し込み、真ん中:荷物をすべて詰め、右:ロールトップで防水完了です。

3. ウルトラライトでは食料が最後

尚、荷物を入れる順番は、一般的に軽量物を下部に、重量物を上部にというセオリーがありますが、ULではすべてが軽量のため、最後に食料を入れるのが正解となります。 (唯一1kgを超すパックとなるため)

撮影:messiah/三宅 雅也
「ドリンク」「食料」「行動食」を入れる場合、「ドリンク」は500mLペットボトルを3本、両側サイドポケットに入れます。

「食料」はアルファ米や乾麺などをメインコンパートメントに1袋にして収納。「行動食」はおにぎり系を最上部に収納し、塩飴やチョコ、ナッツなどはウェストポケットに収納します。 行動中でも取り出し易い場所に入れることで、手軽にエネルギーを摂ることができ、ハンガーノックの回避に繋がります。

ただし、これが正解という訳ではありません。雲行きがあやしい場合は、レインウェアを最上部に収納したりと、臨機応変に対応します。

朝日小屋の夕食
撮影:messiah/三宅 雅也(朝日小屋にて)
夕食に関しては、テント泊でも小屋での夕食を楽しむことにしており、他のハイカーさんたちと山談義を交わし、有意義なひとときを過ごしています。

自分にとっての山旅で重要なものはなに?

三宅さんとギア
撮影: messiah/三宅 雅也
筆者の場合、道中の山旅を心から楽しみたい!という想いが強いため、安全確保の大前提のもと、軽い荷物で快適ハイクを行っています。 最終的なパック重量は、ドリンク、食料・行動食のおよそ3kgを加え6kg程度となり、通常のハイカーさんの日帰り装備程度となります。 これだと、テント場への道のりがとてもお手軽で楽しいものになるのです!

三宅さん
撮影:筆者友人
最終的には、人それぞれの愉しみ方があり、大量の宴会用の酒を担ぐ人、豪華食材を担ぐ人、重いカメラ機材を担ぐ人など、大切なものは千差万別。 ULについての賛否もあると思います。 実際、10kg程度の荷物であれば、それほど重さを感じることなく歩けますし、極端な軽量化は必ずしも必要ではありません。 または、好きなものをより多く担げるよう、軽量化を検討するというのも一興です。 このように自分のスタイルに合わせた取り組みで良いのです。

安全性は削るべからず!

一点だけ気をつけなくてはいけないのは、「安全性を削る」ということは絶対にすべきではありません。 また、最初から悪天候が予想されている時は、UL装備での山泊を見送ることも必要です。大胆に言えば、UL化=命を繋ぐギアに特化していくこと。これを念頭に、それぞれの快適登山装備を見付けていければ最善ですね。 この記事が、少しでもお役に立てば幸いです。 皆さま、どうぞ良い山行を!

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三宅さんとULギア
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三宅 雅也
三宅 雅也

長野県自然保護レンジャー、山岳ライター。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで幅広く活動。 鷲羽-水晶-赤牛岳、槍ヶ岳~笠ヶ岳、荒川三山、中央アルプス主峰全山など、ロング日帰りのスピードハイクを得意とする。 また、キャンピングカーにて、登山と旅を掛け合わせた「外遊び人生漫遊術」を構築中。 スピードハイクの詳細はこちら! ウェブサイトはこちら

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