ULハイクは安全に繋がる!?

UL(ウルトラライト)ハイクと言えば、「軽量化して重量負荷を減らし、楽にハイクすること」を皆さんイメージしますよね。特に長い時間山を歩いたり、泊まりの装備の『衣・食・住』を持参するとなると、当然、軽い方が楽だと思うのは自然なことです。

筆者は長野県自然保護レンジャーの北アルプス地区を担当しており、特に日帰るのが困難な奥部をメインとし、アルプスの山々を歩いています。槍ヶ岳~笠ヶ岳の日帰りハイク、最奥部である水晶岳ー赤牛岳への日帰りハイクなど、時には50kmを越す長距離ハイクも。その過程で、持ち物の取捨選択も吟味を繰り返し、経験から色々と学んでいきました。

なお、荷物を軽量化することのメリットは楽になることだけではありません。登山の安全性も向上するのです。 軽いことによるバランス性の向上、転滑落リスクの低減、体力消耗の抑制、脚の故障リスクの低減、目的地到着時間の短縮など、メリットはたくさん。
そう聞くと、良いことづくめな気がしますが、もちろんそこにはリスクも潜んでいます。しかし、季節や天気、装備をきちんと選ぶことにより、安全性を確保することができます。では早速、荷物を軽量化するにはどうすればいいのか、手順を見ていきましょう!
自分の持ち物の重さを知ろう!

まずは、筆者のバックパックの中身を紹介します。
| 商品名 | 重量 | |
|---|---|---|
| ①ザック | バーグハウス Hyper 37 | 594.5g |
| ②シュラフカバー | SOL Escape Vivi | 234.0g |
| ③マット | 山と道 Minimalist | 56.5g |
| ④幕体 | ストックシェルター | 244.5g |
| ⑤フットプリント | 100均アルミマット | 56.5g |
| ⑥インナーマット | 100均アルミマット | 54.5g |
| ⑦ヘッドランプ | ブラックダイヤモンド ION+予備電池 | 77.5g |
| ⑧エアピロー | ハイマウント トランクインレジャークッション | 93.5g |
| ⑨レインウェア | モンベル トレントフライヤー+バーサライトパンツ | 284.5g |
| ⑩着替え | 就寝時インナー上下/2日目シャツ・靴下 | 216.0g |
| ⑪防寒着 | ユニクロ ウルトラライトダウンジャケット | 233.0g |
| ⑫タオル | モンベル/100均 | 97.5g |
| ⑬調理器具 | ストーブ/クッカー/ライター/箸等 | 415.0g |
| ⑭救急&洗面 | ファーストエイド/ペーパー等 | 371.5g |
| total | 3,030.0g |
あらゆるものを吟味しつつも枕などの快適ギアも取り入れ、トータル約3kgの装備に収まっています。テント泊向け50~60Lザックが、それ単体で2~3kgの重量ということを考えると、かなり軽いことがわかります。
装備を見直す際は、まずは現在の自分のギアの重さを知ることから始めます。その前に、“重量”についての考え方を理解しておきましょう。
何の重量を量ればいいの?

基本的には、重量には以下3つの概念があります。
①ベースウェイト=水、食料などの消耗品を除いたザック重量
②パックウェイト=水、食料を含む、登山開始時のザック重量
③スキンアウト=②に、ウェアやポケット内、すべての装備を合計した総重量
通常、ハイカーの皆さんが気にするのは②パックウェイトですが、水や食料は、泊数・行程の長さ・小屋の多さなどで内容が変化するため、ここでは①ベースウェイトを基に解説していきます。 また、想定時期は「盛夏」、7月下旬~8月末のまさに今です。
自分の荷物をすべて計量!

重要な第一歩、まずは現在の自分のテント泊装備のすべてを整理し把握します。カテゴリ別に
・テント関係
・寝具関係
・調理関係
・着替え
・その他
などで分類すると整理し易くおすすめです。 ザックや幕体も対象に、すべてのギアを料理用メジャーや体重計で量り記録します。
軽量化のための大事な3ステップ
すべてのギアを量り終えたら、何が重いのかが見えてきます。ここで重要なのが、軽量化のための下記3ステップ!

