【勘違いがリスクに!?】登山”初心者”を抜け出せない人がしている6つの思い込みをプロが解説
登山レベルをあげたいなら、装備も軽めで済む夏山がもってこい! でも“自己流登山”を続けていては、すぐ超えられない壁に直面します。そこで今回は「夏山でのレベルアップ」を目指す方に向けて、登山家・大蔵喜福さんに疑問を直撃! そこで見えてきた“初心者にありがちな6つの勘違い”とは…? 高難度の山につきもののガレ場の攻略方法やストックの正しい使い方、おすすめの行動食から夏山でお肉を食べる方法までを伝授します!

制作者
YAMAHACK 編集部
YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。
YAMAHACK 編集部のプロフィール

登山初心者が中~上級者コースにデビューするなら、装備も比較的軽めで済む夏山で経験をつみたいもの。ただ、自己流登山を続けるうちは、レベルアップも厳しいかも…。そこでYAMA HACKでは初心者向けの「夏山でのレベルアップ」をテーマにしたプロの登山家への質問会を実施し、中~上級者コースにデビューする前に知っておきたいことを聞きました。そこから見えてきた「初心者にありがちな6つの勘違い」とその正解をご紹介します。
登壇者

今回質問にお答えするのは登山家の大蔵喜福さん。モデル/フィールドナビゲーターの仲川希良さんの進行で進めていきます。
本質問会は、“挑戦する人を応援する”をブランドメッセージにしているライオン株式会社『ストッパ』の提供でお送りします。
ストッパといえば下痢止め薬のイメージですが、下痢は冷えだけでなく緊張やストレスが原因になることも。「今年の夏こそはもっとレベルの高い山に登りたい!」という人が安心して挑戦できるよう、ストッパからの応援のメッセージも込めてこの質問会が実現しました。
①「ガレ場は足を横にして歩いた方が安全」は勘違い!?

出典:PIXTA
高難度の山につきもので、大小さまざまな岩や石が散乱する、通称“ガレ場”。見るからに滑りやすそうなゴロゴロしたこのエリアを、安全に歩くためのポイントとは?
靴底をフラットに置いて、ゆっくり歩く!

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事前の質問募集でいちばん多かったのが、ガレ場の通過について知りたいというもの。「標高を上げよう!」と思ったとき、岩場は一つの課題ですよね。
夏の穂高連峰3,000m超えなんて憧れる稜線ですが、こういった山は岩屑がゴロゴロしてます。岩屑を蹴っ飛ばすような乱暴な歩き方は論外として、一歩一歩、靴底をフラットに置いて、足裏全体を使うようなイメージで歩きましょう。歩幅は自分の靴のサイズくらいがベスト。かなりの小股に感じるかもしれませんが、登りも下りも、小股でペタペタと歩くのが一番安全です。
疲れたからって横歩きはNG! 落石にも注意して

特に下りは、疲れていても、傾斜に対して靴先を真っ直ぐ下に向けて下りること。疲れたからといって斜めや横向きで歩く人がいますが、これは下から上がってくる人にぶつかったときに危険です。人間は側面のコントロールが不得手なので、横からぶつかってしまうと、足場の悪いガレ場では反対側に転んでしまいます。
私はまだあまりガレ場に言った経験は多くないんですけど、ガレ場は前後の人との関係も大切だって言いますよね。
そういう意味では「落石」にも注意が必要。斜面の緩い山でも落石は起こるし、小さな石でも勢いづけば、頭にグサッと刺さります。万が一自分が落石を起こしてしまったら、即座に大声で「ラーック!」と叫んで注意を促してくださいね!
②水分補給、「喉が乾いたときに飲みたいだけ飲む」はNG!?

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「喉が乾いたときに飲みたいだけ飲む。」飲み物にもトイレにも困らない日常生活ならそれもアリですが、登山となるとまた別の話。プロの登山家は水分補給も超・計画的と言いますが、いったいどんな工夫をしているのでしょうか?
最低限必要な水分量は、体重の2%。夏場はもっと必要に

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夏場は水分の摂り方も気になるところ。ポイントはありますか?
とにかく、少量をこまめに飲むというのが鉄則! 喉が乾いたからとガブ飲みしても、身体は吸収しきれません。吸収できなかった分は、結局おしっこになって体外に出てしまいます。
1日に最低限必要な水分量は、体重の2%と言われています。60kgの人なら1.2Lの計算ですが、せっかく重たい思いをして担ぎ上げた水が、おしっこになってしまったら悲しいですよね。貴重な水分を余すことなく役立てるためにも、少量ずつを心がけましょう。
ビールは水分じゃありません! コーヒー休憩も要注意

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「登山中によく足がつるんですが…」という質問も来ています。これも、水分の摂り方が関係してそうですね。
私の経験上、足がつる人は、水の代わりにビールを飲んでいる人が多い。最近は山小屋にもビールがありますでしょ。理想的なのはスポーツドリンク。水分に塩分とミネラルが含まれていて、味もまあまあおいしい。体液に近く作られているので吸収率も抜群です。
トイレに困らないためにも、水分補給計画は必須

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「隠れる場所のない稜線でのトイレ、どうしたらいいですか?」という質問も来ていますね…。
特に女性は大変ですよね。ポンチョを使うという手もあるけど、「してるな」と思われちゃうのが恥ずかしい人もいるでしょう。やはりこれも、水分の摂り方を上手にして、なるべくトイレに行かずに済ませるというのが一番かなぁ。
山での腹痛は僕も2回ほど経験してます。一つは暴飲暴食によるものですが、もう一つは意外にも緊張によるもので…。妙義山の中ノ岳で垂直のクサリ場に直面したとき、「私のレベルで登れるのか!?」と思ったら、急にお腹がギュルギュルしだして、すごく焦りました。
私も緊張でおなかにくるタイプなので、よく分かります。
登山では水分のとりすぎだけじゃなく、様々な要因によって下痢をする可能性があります。「まさか!」の事態に備えて事前に対策をするのはとても大切なことですね。
体の冷えや水の摂りかたで失敗してギュルギュルってなる人は結構いるんじゃないでしょうか?そんなときのために下痢止め薬はザックに忍ばせておきたいですね!

③「ストックをつかう人は甘えてる」って思ってない!?

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「ストックは甘え」なんて思ったら大間違い。標高の高い山や長距離走破にストックは大活躍。ただ、使い方が間違っていると、それこそ素人丸出しなワケで…。恥ずかしくない、正しいストックの使い方とは?