夏だ!登山シーズン到来
梅雨も明けていよいよ夏本番! 夏は陽も長く行動しやすいため、ちょっと遠出で山の計画を立てる人も多いのではないでしょうか。気温が高くても稜線の風が気持ちよく、標高が上がると涼しく過ごせるのも夏山の醍醐味ですよね。
夏山でも防水ジャケットは必須
暑い日はTシャツで登る人も多くいるかと思いますが、稜線に出ると風が強くなる場合もあり、露出した肌は一気に冷えてしまいます。また夏は気温が高くて落雷や台風などで降雨量が多く、変わりやすい天気です。雨具としてはもちろん風などの外的要因から体を守るためにも、レインウェアは必須のアイテムです。
真夏にゴアは、暑い?
レインウェアといえば、登山者に広く愛用されているのがGORE-TEX®。ザックに必ず入れていく方がほとんどかと思いますが、こんな風に思ったことはありませんか?
「ゴアのジャケット、あっっつい!」
もちろんGORE-TEX®のジャケットにも層の違いなど様々な種類があります。そして何より、防水性と透湿性のバランスが良いのが特徴。しかし、ただでさえ汗だくになる真夏の登山では透湿性がキャパオーバーになることも…。ウェア内部の裏地がぺたっと肌に張りつく感じがしたり、夏の日差しを受け、むんむんした外気により上がる体温で、ウェア内部がとんでもなくムレて暑くなったり。身に覚えのある方もいるかと思います。
「真夏はもっと軽くて柔らかくて涼しくて、サッと着れるんだけどしっかり防水のジャケットがあれば…」と欲張りたいみなさん。そんな夢のようなジャケット、あります! 最近のレインウェアは、かなりの進化を遂げているんですよ。
透湿性バツグン! ミレーのティフォン50000ストレッチシリーズ
一番の違いはストレッチ性と着心地の良さ
GORE-TEX®プロダクトはゴワゴワした固い生地が印象的。さらに、ストレッチ性がないため伸びません。その弱みを克服してくれるのが、ミレーのティフォン50000ストレッチ素材です。裏地にニットを採用することでしなやかさを実現。ストレッチ性に優れているのでアクティブな体の動きにも追従し、柔らかくて快適な着心地が特徴です。
ムレ知らず!? 透湿性バツグン!
出典:石井スポーツグループ
レインウェアで重要なのが透湿性。汗や水蒸気を放出する目安となる透湿値は、数値が高いほど透湿性が優れています。登山ウェアに必要な透湿値が最低でも20000と言われているのですが、ミレーのティフォン50000はモデル名にある50000そのものが透湿値! 他の素材の何倍も優れた透湿性を備えています。
ミレー ティフォン50000ストレッチジャケット
【重量】304g
【サイズ】XS~XL
【カラー】全4色
ミレー ティフォン50000ストレッチトレックパンツ
【重量】220g
【サイズ】XS~XL
【カラー】全3色
薄っ…! マーモットのゼロフロージャケット
透湿性に優れたミレーのジャケットは重さが304g。それに対してマーモットのジャケットは、十分な透湿値20000を維持しながらさらに軽く作られています。その軽さの秘密は、マーモットのオリジナル素材にあるのです。
薄くて軽いっ! 脅威の145g
マーモットのオリジナルの軽量防水素材メンブレン®ストラタ™には極細糸を使用。糸の太さは、女性用の薄手のストッキングよりも細い12デニールです。そして、全腹部と背面に加えて両腕のパターンを1つなぎにしたゼロパターンを採用しています。極力縫い目を省くことで、軽量性、耐久性、防水性が向上。トレイルランニング、ウルトラライトハイカー、ミニマルハイカーなど、身軽さを重視する人におすすめです。
こんなに薄くて大丈夫なの…?
まるでウィンドシェルのような素材ですが、このメンブレン®ストラタ™には2つの特殊加工が施されています。1つは高レベルの微粒子のラミネート加工と、もう1つはラミネート層の擦り切れ防止のための特殊プリント加工。これにより耐摩耗性、耐久性、透湿性を維持し、薄くてもレインウェアとして十分な性能を発揮します。ただ、激しい雨が降る環境では薄い生地が肌に密着して蒸れを感じるかもしれませんが、何より製品化されていることが、薄くても優れた機能を持ち合わせている証です。
マーモット ゼロフロー ジャケット
【重量】145g
【サイズ】S~XL
【カラー】全4色
絶大な人気! ティートンブロスのツルギライトジャケット
インスタグラムやファッションに敏感な登山者の中で密かに人気なのが、ティートンブロスのツルギライトジャケット。ポーラテック社のネオシェル®という素材を使用しているこのジャケットの人気の秘密を探ってみましょう。
通気量が2倍!?
ネオシェル®は、非常に高い通気性が大きな特徴です。他製品の防水透湿性と比較すると、2倍もの通気性の差があります。もう一つの特徴は、しなやかで軽量であること。ソフトシェルとハードシェルの良い部分を備えたネオシェル®はレインウェアとしてはもちろん、夏山登山で風に吹かれた時、スノーハイキング、肌寒い時に着るウィンドシェルなど、オールシーズン活用できる万能素材です。
斬新なナナメジッパーには意味がある
前身頃に真っすぐ付くジッパーは登山行動中いつの間にか着崩れてしまい、ごわついて前身頃が膨らんでしまいがち。それを斜めジッパーにすることで、しなやかさを阻害しないデザインになっています。またジッパーを全開すると、パンツを脱ぐように脱ぎ着できる便利な仕様。ジッパーはダブルスライダーなので、ベンチレーションの役目も担っています。
ティートンブロス ツルギライトジャケット
【重量】245g(Size M)
【サイズ】XS~L
【カラー】全7色
コアなファン多し! OMMのイーサージャケット
活動量が多いならぴったり!
ランナーに大人気のeVent社DVストーム3レイヤーは、31000の透湿値。半袖の上にジャケットを着ても不快なベタつきもなく、3レイヤーでも軽く常に快適さをキープします。夏の登山、蒸し暑い日のハイキング、ファストハイクなどのアクティビティに性能を発揮するジャケットです。
OMM イーサージャケット
【重量】205g(M size)
【サイズ】XS~L
【カラー】全2色
え? じゃあGORE-TEX®は何のためにあるの?
夏にぴったりな防水ジャケットのおすすめモデルを紹介してきました。「なんだ!GORE-TEX®じゃなくていいじゃん!」と思ったかもしれませんが、依然初めて夏山登山にレインウェアを買う時は店員さんにGORE-TEX®を勧められますし、多くの登山者が持っているウェアでもあります。
それはいったいなぜなのでしょう? きちんと理由があるんです。
①数えきれないほどの検査を通っている
GORE-TEX®製品は数々の検査をかけて通過したものが製品化されています。素材試験をはじめ、システムテスト、さらに実際のフィールドで試作品を着用し、機能性と快適性を厳しくテスト。登山ウェアでの汗冷えは人命にかかわります。未だに多くのアウトドアメーカーがGORE社から生地を購入してウェアを作っているのは、多くのユーザーから信頼されている証拠です。
②ストレッチ性があると、少なからず劣化が早い
ストレッチ性のあるレインウェアはしなやかで着心地が最高。ですが、輪ゴムを伸ばし過ぎると切れてしまうのと同じように、生地にストレッチ性があるとその分劣化が進みます。レインウェアは年間通して必要な登山アイテム。GORE-TEX®プロダクトはストレッチ性がありませんが、それ故に長く愛用できるというメリットがあるのです。
ゴアテックス®とその他の素材のレインウェア、それぞれの素材に長所もあれば短所もあります。行く山や日程、山行スタイルなど、利用シーンに合わせて使い分けることが大切です。また、その判断ができるスキルがなくてはいけません。
次世代レインウェアを使い分けて快適登山を!
突然の雨や稜線の強い風よけなど、夏山でも必要なレインウェア。そんな時でも動きやすく快適に登山を楽しみたいものですよね。次世代レインウェアは活用できるシーンがたくさん!着心地抜群のレインウェアで、快適登山を楽しみましょう。