7月中旬は尾瀬沼のニッコウキスゲが見ごろ!

春のミズバショウとともに、尾瀬で2トップの人気を誇る花がニッコウキスゲ。例年、7月中旬~下旬にかけて見ごろになるこの時期には、ニッコウキスゲを目当てにたくさんの登山者やハイカーが尾瀬を訪れます。今シーズンは、ミズバショウと同様に見ごろの時期が1週間ほど早くなりそう。見逃さないよう、詳細を早速チェックしてみましょう。
ニッコウキスゲってどんな花?

北海道から本州の中部にかけて分布し、山地の草原や湿原に群生する山吹色のユリ科の花。山地などの高地でしか見られないことや、朝に咲いて夕方には萎んでしまう一日花であることからも、登山者を中心に人気の花です。「心安らぐ人」という花言葉のイメージ通りに、夏の明るい日差しのもと、山吹色に輝くニッコウキスゲを眺めていると本当に心が癒されます。また、日光(尾瀬のすぐ隣です)に多いことから、漢字で「日光黄萱」とも書きます。
イチ押しスポットは大江湿原!
ブルーのエリアが尾瀬沼エリア
特にイチ押しなのが、尾瀬沼エリアにある大江湿原。あたり一面がニッコウキスゲの山吹色で染まるほどの群生は感動ものです。また、尾瀬沼周辺は尾瀬ヶ原より100~200mほど高地になるため、花の見ごろが1週間ほど遅くなります。そのため、今シーズンは7月の中旬頃が見ごろになると予想されているので、これから出かける計画を立てるのにも最適ですよ。
尾瀬ヶ原には咲いてないの?

ところで、尾瀬といえば東西6km、南北2kmにわたる広大な湿原・尾瀬ヶ原が有名です。尾瀬沼から見て、西に位置します。
しかし近年尾瀬ヶ原のニッコウキスゲはシカの被害により、木道周辺でちらほらとしか見られなくなっています。それでも、牛首の分岐から東電小屋へ向かう途中にある「ヨッピ吊り橋」あたり(上記地図黄色の部分あたり)では数多く見られるので、ぜひ足を向けてみて下さいね。6月末の時点ですでにちらほら咲き始めていたので、7月上旬でも可憐な一輪に出会うことができますよ。
知る人ぞ知る【7月の尾瀬】とっておき情報独占入手!
でも尾瀬の魅力はこれだけではありません。ここからは、現地の“尾瀬スペシャリスト”に、この時季の尾瀬のとっておき情報を教えてもらいます! 動植物やおすすめスポット、ちょっとマニアックな情報までスクープ満載です。
その①(公財)尾瀬保護財団スタッフに聞いたとっておき情報

まずお話を伺ったのは、公益財団法人尾瀬保護財団のスタッフ・萩原舞さん。尾瀬に滞在しながら、連日自然保護のため尾瀬ヶ原を中心に巡回し、訪れる登山者やハイカーに尾瀬の情報を提供しています。
―今日はよろしくお願いします! 早速なんですが、意外と知られていない7月の尾瀬のとっておき情報って…あったりしますか? こちらこそ、よろしくお願いします。そうですね~、ニッコウキスゲはもちろんなのですが、尾瀬ヶ原には
オゼコウホネや
キンコウカ、
ヒツジグサなどがたくさん咲いています。

特にオゼコウホネは尾瀬ヶ原で発見された珍しい植物で、
ここと山形の月山にしか咲いていないので、ぜひ探してみて下さい。また、全体的に今年は例年より咲き始めが2~3週間ほど早いので、早めに来ていただくのがおすすめですよ。見ごろの情報などは
(公財)尾瀬保護財団のブログにも掲載していますので、チェックしてみて下さいね。
―やはり今年は花の見ごろの時期が早いんですね。では、ここで出会える生き物にはどんなものがありますか? 
イトトンボの仲間たちや蝶々のアサギマダラなど様々な昆虫に出会えますが、7月はやっぱり
ホタルがイチ押しですね。例年、7月中旬頃から研究見本園や、山ノ鼻から尾瀬ヶ原に入るあたりで数多く見られます。あと、6、7月は
オコジョの目撃情報が増える月なんです。

オコジョの場合、なぜかよく見つかる年と見つからない年を1年ごとに繰り返しているのですが、今年はよく見つかる年に当たっていますので、かなり期待できますよ。
―最後に、この時期尾瀬に来る際に注意したほうが良いことを教えてください。 やっぱりこの時期は熱中症対策に注意が必要です。
尾瀬ヶ原には日差しを遮るものがないので、帽子を被ったり、水分を十分に摂るなどの対策を忘れずにお願いします。また、通年でも言えることなんですが、濡れた木道は滑りやすく、雨の日の木道は滑りやすく、転倒してケガをする人もいます。なので、特に木道が濡れているときに景色を眺めるなら、立ち止まって落ち着いて楽しんで下さいね。

あと、最後に個人的なおすすめなんですが…私は尾瀬の星空が大好きなんです。7~8月にかけては、夏の大三角の織姫・彦星や天の川、南の空にはさそり座などなど、美しい星たちが共演するので、ぜひ山小屋に泊まったりテント泊しながら、尾瀬の星空を満喫して下さいね。
―なるほど、それは最高ですね! 本日はありがとうございました。 ニッコウキスゲ以外にも、尾瀬の見逃したくないおすすめポイントをたくさん聞くことができました! では、山小屋に勤めている人は私たちの知らない尾瀬のどんな魅力を教えてくれるのでしょうか?
その②現地の山小屋支配人に聞いた!7月の尾瀬の“ツウ”な楽しみ方

続いて、至仏山荘の支配人・栗栖潤さんに、通好みのおすすめ情報を教えてもらいました!
―今日はよろしくお願いします。まず、この時季の“知る人ぞ知る”尾瀬の見どころポイントって何でしょうか? 
ずばり、今年は
コバイケイソウの当たり年なんです。だいたい5年周期で当たり年になるんですが、今年は7月5日あたりから中旬にかけて見ごろとなり、特に尾瀬ヶ原の「上の大堀川」付近やテンマ湿原、山ノ鼻と川上川の間の湿原あたりで群生が見られるので、ぜひ憶えておいて下さいね。
赤い部分がコバイケイソウがあるエリア
あとは、ショウキランやコケイランなどのラン系の花が今年は多く見られます。希少な花なので詳しい場所は教えられませんが、ぜひ探してみて下さい。
―なるほど、やはり尾瀬は花々が豊かなんですね。では、花以外でこの時期のとっておき、みたいな情報はありますか? 
そうですね~、特に写真が趣味の人におすすめなのが早朝の上田代ですね。山の鼻から上田代にかけて池塘(ちとう・湿原にできる池沼)が点在しているので、この時期には朝霧がたくさん出るんです。その霧が動いている感じがまさに神様のように見えて、私は「上」田代を「神」田代と読み替えてます(笑)

去年の尾瀬のフォトコンテストで最優秀に選ばれた作品も、その上田代で撮られたものなんですよ。あとは、やっぱりホタルですね。
―ホタルですか! 保護財団のスタッフさんもおっしゃってました。 ええ、夏の風物詩です。至仏山荘の傍の清流でも数多く見られるんですが、山荘に寄ってくるので、部屋から見えることもあります。朝霧もそうですが、両方とも尾瀬に泊まらないと体験できないので、ぜひ宿泊してゆっくり楽しんでほしいですね。
今が見ごろの尾瀬に遊びにきて!

尾瀬の中心となる尾瀬ヶ原や尾瀬沼にも夏が到来し、ニッコウキスゲをはじめ多種多彩な夏の花々が咲き始めました。同時に、カルガモなどのシーズンを通して見られる鳥類の他、ホタルやトンボ、蝶々など様々な昆虫たちにもお花畑で出会えるようになってきます。もちろん、人工の光が少ない高所ならではのロマンチックな星空も見どころの一つ。自然の魅力がたっぷり詰まった夏の尾瀬に、ぜひ遊びにきてくださいね。