それでは登山での転倒の原因とは一体何なのでしょうか?不確定要素の多い山ではその原因も様々ですが、代表的な5つを紹介します。「自分は転ばない」と思っている中~上級者の方も、ぜひ改めて確認しておいてください。
①登山技術不足
言うまでもなく、登山での歩行は街路とは異なります。しっかりと靴底全体で地面をグリップするなどの歩き方や岩場でのスタンスの取り方、滑りやすい木の根や浮石を踏まないようにするなど、安全な登山には歩行の技術が必要です。特にまだ経験の浅い初心者に多い原因と言えるでしょう。
②疲労と気の緩み
実は、登山での転倒事故の大変は下山時に発生します。それは、気を張って慎重に登っても、多くの人が目的とする「登頂」の後、気が緩んでしまうからです。同じ理由で危険個所通過後も要注意。また、下山時は体力を消耗しているために、足元のバランスが不安定になり転びやすくなります。
③焦り
登山が計画通りに進んでいなかったり、早く下山しないといけない事情があったりする場合には無理なペースになりがち。特に体力に自信のある人で、難易度の低い緩やかな道を下りるときほど要注意。焦りは普段なら考えられないような簡単なところで、思わぬ転倒を生むものです。
④道具
意外と多いのが登山道具が原因となる転倒です。特に気をつけたいのは歩行の生命線たる登山靴。靴底が磨り減っていたことによるスリップ、靴紐が長すぎたり、劣化によって切れて引っかかるなど、メンテナンスを怠ると転倒の大きな要因となってしまいます。
⑤天候
最後に気を付けたいのが天候です。山の上では天候が悪化すると霧や靄が発生することで視界が悪くなり、足元が見えにくくなります。また、雨によって濡れた斜面で滑ったり、ぬかるんだ泥に足を取られたりと転倒のリスクが格段に高まるのです。
9つの対策で目指せ!転倒ゼロ登山
大きな事故につながる可能性のある転倒を防ぐことが安全に登山を楽しむ上で大切なことです。ここからは登山開始前と登山中に分けて、転倒のリスクへの対策をご紹介します。
登山開始前にやっておくべき6つの転倒対策!
【1】基礎体力をきちんとつける
筋力不足と疲労によって身体のバランスが不安定になると転倒の原因になります。普段からトレーニングをして登山の体力をつけておきましょう。特に下半身のトレーニングは歩行の安定に役立つので重点的に行ってください。ウォーキングやランニング、スクワットなどがオススメです。
▼毎日コツコツ登山のトレーニングをしよう
【2】登山の歩き方を身につけよう

街での歩行とは異なる、登山での歩き方をきちんと身に着けておきましょう。靴底全体で地面をグリップする・小さめの歩幅でゆっくり進む・岩場や木の根、浮石など滑りやすい箇所把握するなど…初心者はもちろん、ある程度登山に慣れた人も、基本が何より大切だと心得ておきましょう。
▼疲れにくく快適な歩き方法を身につけよう
【3】道具のメンテナンスをきちんとする

どれだけ技術があっても靴底が磨り減ってツルツルだったり、ソールがはがれたりしていては安全に歩くことは困難です。危険が多い登山では靴をはじめとする道具は生命線です。愛着のあるギアを長く使うためにも、普段からメンテナンスの癖をつけておきましょう。
▼登山靴は大切な登山のパートナー。きちんと手入れをしましょう
【4】登山計画をきちんと立てよう
登山計画を立てる際には、自分の技術で安全に登山ができるコースなのかを必ず確認しましょう。また、焦りや疲労も転倒の大きな原因の一つですので、きちんと休憩を取りながら余裕をもって進めるかどうかも大事なポイントです。技術や経験的に不安がない山でも油断しないように注意してください。
▼登山計画書の作り方はこの記事をチェック
【5】十分な睡眠と食事を摂っておこう

どんなベテラン登山家でも、寝不足でふらふら、お腹がすいて力が出ないというような状態では簡単なコースでも事故につながります。重いザックを背負って歩く登山は、想像以上にカロリー消費します。くれぐれも体調は整えて臨みましょう。
【6】登山の前には入念なストレッチで準備を整えよう
登山はただのウォーキングよりも遥かに筋力と体力を使います。特に普段運動をしない人ほど、登る前にストレッチをして体をほぐしておきましょう。手軽でオススメなのは誰もが知ってるラジオ体操。ケガの防止だけでなく、パフォーマンス向上にも一役買ってくれます。
▼登山前のストレッチも忘れずにしましょう
登山中の転倒対策は次のページ→