日帰りで行ける福島の百名山、磐梯山とは?
標高 | 所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1,816m | 福島県耶麻郡猪苗代町、磐梯町、北塩原村 | 20.5℃ | 5.9℃ |
磐梯山(ばんだいさん)は「会津磐梯山」として民謡にも登場し、年間約2万人が訪れる福島県のシンボルとも言える山です。現在でも活動が見られる活火山であり、日本ジオパークにも選定されています。以前の標高は1,818mでしたが、三角点が侵食によって失われたため、2010年に1,816mに修正されました。
見てよし!美しい山容を持つ日本百名山
南側の猪苗代湖から眺められる表磐梯山は「会津富士」と呼ばれるほど美しい山容で、日本百名山のひとつにも数えられています。
登ってよし!360度の美しい大展望
登山コースは複数整備されており、初級者向けのコースなら手軽に山頂に行くことも可能。山頂には360度の大パノラマで周辺の美しい景色が広がっています!
大噴火によって形成された大地
富士にも例えられる表磐梯山の美しい山容とは対照的に、反対側の裏磐梯は一転して2つに裂けた荒々しい姿を見せます。長い年月の中で爆発・崩壊を繰り返して形成された裏磐梯の勇壮な山容は大迫力!
磐梯山を登る前に知っておきたい3つのこと
日帰りで登れる磐梯山ですが、登山前に確認しておくべきことがいくつかあります。
磐梯山は活火山。火山情報もチェックしよう
現在火山活動は静穏状態となっていますが、登山の際には火山であることを忘れず、最新の火山活動情報をチェックしておきましょう。
6つのレベルが異なる登山道。どこならば歩ける?
磐梯山は6つの登山口があり、公共交通機関を利用してアクセスすれば縦走も可能です。まずは各ルートの特徴を見ていきましょう。
①八方台登山口:最も標高の高い地点からスタートできる定番人気コース。初級者におすすめ。
②裏磐梯登山口:桧山湖・五色沼などの美しい湖沼群を背後に眺めながら、表とは一味違う荒々しい裏磐梯を登るコース。
③川上登山口:前半は森林ハイクだが、後半は険しい火口壁の階段を登るダイナミックなコース。体力のある上級者向け。
④渋谷登山口:うっそうとした森林を歩く気持ちのよいコース。道が非常にわかりにくいので、ルートファインディング能力が必要。
⑤猪苗代登山口:スキー場のゲレンデを登るコース。傾斜はきついが、振り返れば美しい猪苗代湖の眺めが見られます。
⑥翁島登山口:ガレ場を一気に登るルート。体力に自信のある中級者向け。後半は会津盆地を見渡す最高の眺望。
裏磐梯方面の噴気口から山頂へと至る道は地図では破線になっています。急登箇所には鉄柵が設置されており、滑落の危険があるので通行しないようにしてください。
また、途中で櫛ヶ峰への分岐がありますが、整備された登山道ではないので、上級者以外は避けましょう。
山頂にもトイレなし!携帯トイレ使用のルール
磐梯山山頂にはトイレがありません。事前に済ませるか、携帯トイレを使用しましょう。携帯トイレは、弘法清水小屋・岡部小屋で販売されており、各小屋に使用のためのブースもあります。
使用済みの携帯トイレは八方台登山口・猪苗代登山口・裏磐梯登山口にある回収箱に入れるか、持ち帰って燃やせるゴミとして処分してください。
磐梯山の登山適期はいつ?
登山適期は5月~11月、春先の新緑や季節によって変わる色とりどりの植物、鮮やかな紅葉までシーズン通して長く楽しめる山です。
登山適期は基本的にグリーンシーズンですが、冬になると「イエローフォール」という名物が裏磐梯で見ることができます。山頂を目指す登山とは異なりますが、こちらも磐梯山の名物のひとつです。
磐梯山の天気と地図をチェック
行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
山頂まで約2時間!初級者におすすめピストンコース2選
登山口の標高が高い、もしくはリフト利用ができるため、山頂までの時間が2時間程度のコースです。
八方台登山口|磐梯山の定番!高低差が少なめの安心コース
最高点の標高: 1776 m
最低点の標高: 1198 m
累積標高(上り): 966 m
累積標高(下り): -966 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
高低差が少なく、ピークハントを目的とした登山や初級者におすすめのコースです。登山道も整備されている人気の定番コースで、シーズン中には最も多くの登山者が利用します。
きれいに整備されたトイレと登山届を入れるポストがあります。駐車場は台数に限りがあるので注意してください。
磐梯山の固有種であるバンダイクワガタを始め、ミヤマキンバイやヒメイチゲなど春から夏にかけて色とりどりの植物を楽しめます。
かつて磐梯山の頂上部にあった温泉地。現在は廃業していますが、温泉は湧いており、周囲には硫黄の臭いが漂います。
冷たく美味しい湧水がその名の由来。近くには岡部小屋もあります。営業期間はGW~11月中旬まで。
2010年の修正後、山頂の標高は1,816mに。古くから修験道の山として栄えた磐梯山山頂には磐梯明神が祀られています。
頂上は、360度の大展望!周辺の湖沼群から那須連峰まで見渡せる絶景です。山頂直下では道を譲り合いながら同じルートを通って下山しましょう。
猪苗代登山口|リフトなら最短。高山植物を満喫できるコース
最高点の標高: 1776 m
最低点の標高: 704 m
累積標高(上り): 1756 m
累積標高(下り): -1756 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間35分(リフト利用の場合は4時間5分)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
磐梯山の表玄関、猪苗代スキー場のある「猪苗代登山口」から登るコースです。夏期には登山者向けにスキー場のリフトが運行されるため、それを利用すれば、天ノ庭が歩きはじめとなり、約2時間で頂上にアクセスできます。
裏磐梯分岐点あたりでは大迫力の噴火壁が見られます。色とりどりの高山植物を楽しみたいならこちらがおすすめです。
登山はスキー場からのスタート。序盤は急勾配のゲレンデを上がります。スキーで滑り下りる斜面を登るのは何だか新鮮です。
ミズバショウ、コウリンタンポポ、ハクサンチドリなどの高山植物が目を楽しませてくれます。
急斜面のゲレンデを登り切った先にある天ノ庭で休憩しましょう。リフト利用の場合はここがスタート地点。この先は登山道へと入っていきます。
分岐を赤埴山方面へ。赤埴というだけあって、地面が赤いのが特徴です。山頂からは磐梯山の勇姿を望めます。
磐梯山と櫛ヶ峰との稜線は登山道として整備はされていないので、初級者の方は立ち入らないようにしてください。
山頂から振り返ると猪苗代湖がばっちり見えます!
表と裏どっちから登る?健脚者におすすめロングコース2選
磐梯山には表と裏の異なった表情がありますが、それぞれを見ることができる登山口からのコースです。いずれも急登があったり、コースタイムが長めだったりするため、中級者以上の登山者におすすめです。
翁島登山口|ガレ場を一気に急登する健脚自慢コース
最高点の標高: 1746 m
最低点の標高: 1187 m
累積標高(上り): 965 m
累積標高(下り): -965 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間55分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
一部鎖場があるガレ場の急登コースを一気に登っていくコースです。コースタイムの割にハードなので、脚力に自信のない人は注意してください。
スキー場を登っていくパートはそこまで斜度はきつくありませんが、登山道に出るといきなり急登で鎖場も出てきますので頑張りましょう。
シーズン中なら道中でタニウツギやミヤマキンバイなどの植物を楽しみながら登ることができます。
30分ほど進むと岩場を登攀するためのトラロープが出てきます。さほど危険はありませんが、足元には十分注意してください。
景色が開けた後、ガレ場の急斜面を一気に登れば山頂です。激しい登りの後なので、山頂では冷えないようにしましょう。
眼下に見る猪苗代湖は疲れを忘れさせてくれます。同じルートを下る場合には岩場には十分注意してください。
裏磐梯登山口|荒々しい姿を見たいならこちらのコースを!
最高点の標高: 1776 m
最低点の標高: 845 m
累積標高(上り): 1610 m
累積標高(下り): -1610 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間37分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
桧山湖・五色沼などのある裏磐梯山登山口から登るコースです。噴火の痕跡による、表磐梯とは一味違う荒々しい山容を体感することができます。
クルマの場合は、裏磐梯スキー場からスタートです。公共交通機関の場合は、裏磐梯登山口からスキー場まで徒歩約45分です。ポストがあるので登山届の提出も忘れずに。噴気口方面は行かないように注意してください。
スキー場のゲレンデを30分ほど登ります。木々がなく開けていて気持ちがいいですが、日差しが直撃するのでサングラスがあると便利です。
銅沼(あかぬま)は、旧噴火口に出来た火口湖。強酸性のため赤茶けた独特の色合いです。この先に八方台登山口からの合流ポイントがあります。
岡部小屋・弘法清水小屋から先はその他のルートと共通なので登山者が増えます。
山頂からは北側に桧原湖が見えます!扇島方面など表磐梯に抜けて下山するロング縦断コースも、体力に自信のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
各登山口へのアクセス
各登山口へのアクセスと駐車場情報を紹介します。裏磐梯登山口を除き、登山口までの路線バスなどはないため、タクシーの利用となるので注意しましょう。
八方台登山口
【クルマの場合】
磐越自動車道「磐越河東」IC−磐梯山ゴールドライン八方台駐車場
【公共交通の場合】
JR磐越西線「磐梯町」駅からタクシー−八方台登山口
翁島登山口
【クルマの場合】
磐越自動車道「猪苗代磐梯高原」IC−翁島登山口駐車場
【公共交通の場合】
JR磐越西線「翁島」駅からタクシー−翁島登山口
猪苗代登山口(猪苗代スキー場)
【クルマの場合】
磐梯自動車道「猪苗代磐梯高原」IC−国道115号−県道7号−県道324号−猪苗代スキー場
【公共交通の場合】
JR磐越西線「猪苗代」駅からタクシー−猪苗代登山口
裏磐梯スキー場登山口
【クルマの場合】
磐梯自動車道「猪苗代磐梯高原」IC−国道115号−県道459号−裏磐梯スキー場
【公共交通の場合】
JR磐越西線「猪苗代」駅−磐梯東都バス乗車、「裏磐梯高原」バス停下車−裏磐梯スキー場まで徒歩45分
磐梯東都バス|公式サイト
磐梯山は表と裏で二度楽しめる百名山
磐梯山は会津富士と呼ばれる表磐梯と噴火跡が荒々しい裏磐梯で違った表情を見せてくれる山です。登山口が複数あり、初心者から上級者までレベルに合わせてコースが選べるのも魅力。また周辺は一大リゾートとして発展を続けており、温泉施設や宿なども豊富にあるので、ファミリーで登山ついでに観光するのもおすすめです。