「ハッカ油」が登山に万能!?
ハッカ(薄荷)は、シソ科のハーブの一種。あまり耳なじみがないかもしれませんが、「ミント」と聞けば、ほとんどの人が「ああ、あのスーッとするやつ」とイメージできるしょう。ハッカはミントの一種であり、ミントの日本語名でもあります。
ハッカ油は、そのハッカの茎や葉を乾燥させて抽出した、天然成分100%のエッセンシャルオイル(精油)。「メントール」という成分が、あのスーッとする感じのもとです。これが、実は夏の暑い時期の登山に大活躍するって、みなさん知っていましたか?
夏山で役立つ「ハッカ油」の5つの効果
では、果たしてどのようなシーンでハッカ油が便利なのでしょうか? 5つの効果と、具体的な活躍シーンを見ていきましょう!
①冷却パワーで体感温度を下げる
やはりハッカ油の一番の特徴は、あのスーッとする清涼感。登山中の暑さを和らげるために、これを使わない手はありません。おすすめは、日本手ぬぐいとの合わせ技。
濡らした手ぬぐいにハッカ油をワンプッシュ。スプレーした部分が肌に触れないよう内側に折り畳んで首に巻きましょう。水とハッカ油が蒸発する際に熱を奪い、汗を抑えて驚くほどのひんやり感が続きます。一度やったらやみつきになること間違いなし!
汗でベタついた体を広範囲でスッキリさせるなら、肌に直接使えるハッカ水スプレーを作ると便利です。詰め替え用の小さなスプレーボトルに水とハッカ油を入れ、しっかりと振って混ぜるだけ。事前に作っておくのはもちろん、山でも手軽に作れます。用途によって濃度を変えられるよう、小さなボトルで少量ずつ作るのがおすすめ。
分量は、30mlの水に対してハッカ油1~2プッシュを目安に、様子を見ながら分量を調節します。くれぐれも量が多くなりすぎないように注意しましょう。
【注意!】
ハッカ油にはポリスチレン(PS)を溶かす成分が含まれるためPSと表記のある容器は使用できません。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン製(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のものを使い、ポリプロピレン製品にスプレーすることも避けましょう。
②除菌効果で気になるニオイを防ぐ
ハッカ油には優れた除菌効果があり、清潔を保ちニオイの原因となる菌の繁殖を抑える力があります。体のニオイ防止にもハッカ水スプレーを活用しましょう。
山小屋やテントで靴を脱いだとき、1日歩いてムレた足のニオイが気になりますよね。足の裏や指の間までハッカ水スプレーをふきかけてすり込むようにマッサージすれば、スッキリ爽やかで、疲労解消効果も期待できます。
そして脱いだ靴の中にも、ハッカ油の原液をワンプッシュ。夜の間に繁殖する菌を抑えてニオイも防ぎ、次の日も気持ちよく履くことができます。汗まみれになるバックパックの背面や帽子など、広い面積にはハッカ水スプレーを使うといいでしょう。
他にもカビ臭などテントのニオイや、生ゴミのニオイが気になるときなどにも有効。人工的な香りでごまかすのでなく、しっかりと除菌消臭する効果が得られます。
③体にやさしい天然成分の虫除け剤として
夏になると増えてくる蚊やブヨなどの虫よけにも、ハッカ油が活躍します。ハッカ油の独特な香りは、虫にとっては避けて通りたいイヤなニオイ。ダニ、ハエ、クモ、カメムシや、ゴキブリにも効果があるそうです。合成成分を含まないので、濃度に気をつければ子どもにも安心して使えます。
肌に直接塗るにはハッカ水スプレーを使いますが、虫除け効果を狙うなら少しハッカ油を足して濃度を上げるのが効果的。子どもや肌の弱い人は、衣類や装備に吹きかけるか、ハンカチなどに原液を付けて身につけるなど、いくつかの方法を組み合わせるといいですね。
帽子の裏側やツバの内側に、ハッカ油をワンプッシュすれば、周りを飛びまわるうっとうしい小ムシを撃退でき、揮発効果でクール感も得られて一石二鳥です。素材によってはシミになることもあるので、見えない部分に吹きかけるか、水で薄めたものを使いましょう。
テント周りに寄ってくるムシも、ハッカ油で撃退。入り口のメッシュパネルにスプレーしておけば、開閉のたびにテント内にムシが入るストレスを減らせます。
④アロマ効果で気分をコントロール
眠気覚ましにミント味のガムが効果的なように、ハッカ油には集中力を高める効果があります。頭がすっきりせず気分が乗らない、登山中に疲れで集中力が落ちたと感じる、難所を前に不安感がある、そんなときはハッカ油の香りで気分転換。安全な登山の助けになります。
逆に、気分が高揚したり、翌日の山行に不安を感じたりで眠れないというときにも、ハッカ油が助けになります。コツはほのかに香りが感じられるように量を調整すること。ティッシュなどに少量のハッカ油を付けて枕元に置くのがいいでしょう。ムシ暑くて寝苦しいときは、濡らしたティッシュに少量のハッカ油を付けておでこに乗せると、リラックス効果と涼感で誘眠効果が得られます。
⑤体調不良改善にも役立つ
◆車酔いに
登山口までのバスや車で車酔いをしてしまったら、ハッカ油をハンカチやマスクに付けて香りを嗅ぎましょう。むかつきを抑える効果が期待できます。
◆頭痛や肩こり、かゆみ止めに
ハッカ油に含まれるメントール成分には麻酔効果がある(※1)ので、肩こりや頭痛の苦痛や虫さされのかゆみを和らげてくれます。水スプレーを手に取って、こめかみや首筋、虫にさされたところをマッサージするように塗りこみましょう。(※1参照:湯原内科医院)
◆胃の不快感や食欲不振に
ハッカ油を手に入れよう
ハッカ油は一般の薬局やドラッグストア、ネットショップなどでも手軽に手に入ります。いろいろなサイズやタイプがありますが、初めに買うなら、詰め替えもできる小瓶のスプレータイプで食品添加物と表記のあるものがおすすめ。ひとつでいろいろ使いまわせ、小ぶりなので山にもって行くのにピッタリ。
北見ハッカ通商 ハッカ油ビン 10ml スプレー
原材料 : ハッカ油
内容量 : 10ml
商品サイズ (幅X奥行X高さ) : 24×24×98mm
忘れないで!使う時の注意点をチェック
こんなに便利なハッカ油ですが、正しく使わなければ効果は期待できません! 使用上の注意点を確認しておきましょう。
原液を直接肌につけない
ご紹介したのはスプレータイプですが、これは肌に直接ふきかけるためではありません。痛みやトラブルが生じることもあるので、原液を広範囲で肌に付けることは避けましょう。
使いすぎに注意
ハッカ油は少量で高い効果が得られるので使いすぎは禁物。使ってすぐよりも少し時間がたつと効果が強く現われてくるので、様子をみながら少量ずつ使うのがコツです。
傷口や粘膜に付かないように注意
刺激が強いので、目や鼻、唇などの粘膜や皮膚の薄い部分、傷口に成分がつくととても痛い思いをします。触った手で目をこするなどということにも注意しましょう。
ハッカ水スプレーは使い切る
買ったときのボトルのままなら問題ありませんが、水を混ぜて作ったハッカ水スプレーは日持ちしません。濃度もその都度調整できるよう、少量ずつ作って使い切るようしましょう。
水分補給を忘れずに
ハッカ油の清涼感は、体感温度を下げる効果がありますが、実際に体温を下げるわけではありません。汗がひいたからと安心せず、しっかりと意識して水分補給をし、脱水症状にならないよう充分注意しましょう。
周りへの気づかいも
ハッカ油は天然成分ですが、香りが強いのが特徴です。自分には心地よくても、周りにはその香りが苦手な人がいるかもしれません。使う場所や環境に合わせた使い方を考えましょう。
使えない素材に注意
詰め替えボトルでも説明したように、ハッカ油ポリスチレン(PS)素材にはハッカ油が使えません。他にも衣類やテント、バックパックなども、素材や色によってはシミになることがありますので、原液を使わない、目立たないところで試すなどの工夫をしましょう。
まずは家で使ってみよう
さまざまな効果のあるハッカ油は、夏山に必携の万能アイテム。天然の植物の力に改めて驚くことも多いですね。効果が高いからこそ使い方に注意も必要ですが、薬品ではないので、分量にさえ注意すればあまり神経質になる必要はありません。山に行く前に家でその効果を体験して、どれくらいの分量が適当か、どんな濃度が使いやすいかを、試してみることをおすすめします。
最後にもうひとつおすすめの使い方をご紹介。下山後の楽しみは、なんといってもお風呂。たっぷりかいた汗を洗い流すとき、いつものシャンプーやボディーソープに、ほんの少しハッカ油を混ぜてみてください。汚れもニオイもベタつきも全部サッパリと洗い流す爽快感が味わえ、湯上りの汗もさっと引きますよ。