武奈ヶ岳(ぶながたけ)とは?
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
---|---|---|---|---|
1,214.2m | 滋賀県大津市 | 比良山地 | 23.9℃ | 10.1℃ |
滋賀県の琵琶湖西側に位置する武奈ヶ岳は、比良山地の最高峰。日本二百名山・関西百名山にも認定されていて、琵琶湖国立公園の一部になっています。武奈ヶ岳の山名は、昔、山頂付近に広くブナ林が生えていたことが由来しており、現在でもブナ林が広がっています。
武奈ヶ岳は、初心者でも歩きやすい登山道があるなどコースが豊富で、滝や湿原など見どころが多いのが特徴です。
武奈ヶ岳の登山適期は?
武奈ヶ岳は、春から秋まで一年を通じて登山や自然風景が楽しめる山。春の桜や新緑、秋には紅葉や樹氷など、四季によって姿を変えていきます。時期を選ばない武奈ヶ岳ですが、春は寒気の影響で比良山系から琵琶湖方面へ「比良八荒」と呼ばれる特有の季節風が吹くので、山頂付近の稜線では強風に注意しましょう。
武奈ヶ岳は、10月~11月頃になると草木が色づき、紅葉が一面に広がります。武奈ヶ岳だけでなく比良山系一帯が赤や黄色に染まっていくので、美しく賑やかな山容が楽しめます。自然の織りなす華やかな風景に心休まることでしょう。
山頂からは360度の大パノラマが!
山頂の素晴らしいロケーションは、武奈ヶ岳が多くの登山者から人気とされる理由の一つ。琵琶湖の景色が間近に広がり、伊吹山や鈴鹿山脈、晴れていれば白山やアルプスの山々も望めます。360度どこを見渡しても楽しめる大パノラマが魅力です。
日本の滝100選にも選ばれた「八ツ淵の滝」
武奈ヶ岳北東に位置する八ツ淵の滝は、日本の滝100選にも選ばれた名瀑。8つの淵が集まっていることが名前の由来とされ、各滝によって岩の形状や水深が違います。八ツ淵の滝周辺は、ヤマツツジやイワカガミなどの植物群が広がる豊かな自然景観。滝と植物を一緒に楽しめます。ただし、八ツ淵の滝は上級者向けコースにある滝なので、初級者の方は注意してください。
地図も必ずチェック!山と高原地図 比良山系 武奈ヶ岳・赤坂山
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
武奈ヶ岳の天気は?
武奈ヶ岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
初心者向け|美しいブナの樹林帯を楽しむ5時間コース
坊村から出発するこのコースは、武奈ヶ岳の中でも比較的登りやすいルートなので登山初級者にもおすすめ。気持ちのいい緑がきれいなブナ林の中を歩いていくことができます。登山者の目を楽しませてくれる稜線の景色も魅力のコース。
最高点の標高: 1172 m
最低点の標高: 300 m
累積標高(上り): 1268 m
累積標高(下り): -1268 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間55分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
坊村(130分) →ワサビ峠(40分)→山頂(25分)→ワサビ峠(100分)→坊村
坊村からの登山口は、明王院を過ぎて橋を渡った奥。登山道を進んでいくとすぐに急登が始まります。高木が立ち並ぶ樹林帯の中を歩いていくことになり、曲がりくねった道が連続します。
森林内は途中に分岐看板もあるので、初級者にも比較的わかりやすい道。しばらく歩くとゆるやかな登山道へと変わっていきます。ブナ林内は陽の光が少ないですが、森の神秘的な雰囲気を味わうことができるでしょう。視界が晴れてきて御殿山に到着したら、ワサビ峠まではもうすぐです。
御殿山を出発して、なだらかな道を進むとワサビ峠に到着。ワサビ峠には分岐目印があるので、すぐにわかることでしょう。ワサビ峠から稜線までは茂った登山道で、途中道幅が狭いところもありますが、危険というほどではありません。しばらく歩いて稜線に出ると、一気に見晴らしがよくなります。
稜線に出ると、山頂のあたりがよく見えます。晴天時には山の稜線がはっきり見えて美しく、青い空に緑の森林が映える素晴らしいロケーション。稜線の場所によっては琵琶湖が見えることもあるでしょう。山頂道中のケルンもいい目印となっています。
爽快な空気と大パノラマが魅力の武奈ヶ岳山頂。悠然と広がる琵琶湖の景色が素晴らしく、晴れていれば、遠くに北アルプスや御嶽山などの山々も見られる絶景エリアです。山頂には休憩にちょうどいい石が転がっているので、ゆっくりと座ってごはんを食べるのもいいでしょう。
坊村へのアクセス方法はこちら
●車の場合
【大阪から】
阪神高速13号東大阪線 ー 阪神高速11号池田線 ー 名神高速道路 ー 京都東IC ー 国道367号 ー 国道161号 ー 国道477号 ー 坊村(約96km)
●電車・高速バスの場合
大阪駅(JR 特急サンダーバード・金沢行)ー 京都駅(JR 奈良線・奈良行)ー 東福寺 ー (京都本線・出町柳行)ー 三条(京都本線特急・出町柳行)ー 出町柳駅前(京都バス・朽木学校駅前行)ー 坊村
【駐車場情報】
坊村駐車場
住所:滋賀県大津市葛川坊村町110
駐車台数:約40台
葛川市民センター 駐車場
住所:滋賀県大津市葛川坊村町
電話番号:077-599-2001
料金:無料
中上級者向け|ガレ場や鎖場・沢道を楽しむ7時間コース
やや難易度の上がる中上級者向けの武奈ヶ岳コース。途中、沢を渡るようなガレ場があったり、ルートが不明瞭なところがあったりします。際立った難所がないコースなので、登りがいのある登山が楽しめることでしょう。
※沢沿いを通るコース、さらに橋のない渡渉場所が何か所があるため、増水時は特に注意が必要です。さらにガレ場も多く滑りやすいため、必ず事前に確認をお願いします。
最高点の標高: 1189 m
最低点の標高: 254 m
累積標高(上り): 1787 m
累積標高(下り): -1787 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間10分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
イン谷口(25分) →大山口(90分)→金糞峠(50分)→中峠(30分)→ワサビ峠(40分)→山頂(15分)→コヤマノ分岐(45分)→イブルキノコバ(15分)→八雲ヒュッテ(20分)→北比良峠(30分)→カモシカ台(30分)→大山口(20分)→イン谷口
イン谷口駐車場から先に進んだ大山口分岐までは、整備された歩きやすい道。さわやかで涼しげな雰囲気を楽しむことができるでしょう。大山口分岐は、左側が青ガレ・金糞峠、右側が北比良峠へと通じているので、左側の青ガレ方面へと進みます。
大山口分岐から進み、水場を通過するとゆるい林道へ。森の中は日陰で気持ちがよく、水の音が気持ちをリフレッシュさせてくれます。途中にあるガレ場を登ると、青ガレに到着です。
青ガレから中峠までは少しルートがわかりにくく、さらにガレ場の連続。急登を越えて、金糞峠に到着した後は一度下ります。八雲ヶ原分岐を中峠・大橋方面へと進み、やや頼りない丸太橋を渡った直後の分岐点は、中峠・ワサビ峠方面へと進みましょう。
沢を渡り分岐を直進したあとは、樹林帯の岩場をひたすら歩いていくことになります。途中、道幅の狭い斜面を通過して、巨木の先を行くと中峠に到着です。
中峠から少し下り、ワサビ平を通って沢を渡ります。森の中を進み、急登を抜けた先がワサビ峠です。
ワサビ峠からは陽のあたる道で、展望のいい西南稜の尾根が続いています。天気がいいと蓬莱山が見えることもあるでしょう。山頂へは、ラストに急勾配の坂を登って到着です。
山頂からしばらくは下りが続き、林間に入るとさらに急な下り坂となります。転びやすい道なので足元に注意して進みましょう。
コヤマノ分岐ではイブルキノコバへと向かいます。途中に出てくるロープ付きの崩れた登山道は、慎重に通ってください。沢沿いを進み、平らな木の橋を渡るとイブルキノコバに到着。
落ち着いた雰囲気の八雲ヶ原の湿原には木道があり歩きやすいですが、傷んでいるところがあるので足元に注意してください。分岐を北比良峠方面へと進めば、北比良峠に到着です。
イブルキノコバから北比良峠までは分岐点が多いので、間違えないよう注意!
北比良峠からは、平坦で歩きやすい道登山道。やや幅が狭いですが、特に危険な箇所はありません。北比良峠からの中間地点カモシカ台を通って、しばらく下ると沢に合流。そこから少し進むと登りルートで見た大山口分岐に到着するので、行きと同じルートを通って帰ります。
イン谷口へのアクセス方法はこちら
●車の場合
【大阪から】
阪神高速13号東大阪線 ー 阪神高速11号池田線 ー 名神高速道路 ー 京都東IC ー 国道161号ー イン谷口駐車場
●電車・高速バスの場合
大阪(JR 京都線快速・米原行)ー 京都駅(JR湖西線・永原行)ー 比良駅(江若交通・比良登山線130系統 ※冬季運休・比良イン谷口行)ー 比良イン谷口
【駐車場情報】
武奈ヶ岳イン谷口駐車場
住所:滋賀県大津市南比良
駐車台数:8台程度
料金:無料
上級者向け|滝を見ながら沢登りを楽しむ7時間コース
渡渉のポイントが多く、場所によっては鎖場もある上級者向けの武奈ヶ岳ルート。コース内に危険箇所が存在し、滑落の恐れもあるため、十分な装備で臨む必要があります。沢沿いの涼しい景観と山の四季を楽しめるコースです。
※このコースは死亡事故も多発している上級者向けコースです。必ず事前に確認をお願いします。
※コース上に記載のある広谷小屋は現在閉鎖されているのでご注意ください。
最高点の標高: 1189 m
最低点の標高: 486 m
累積標高(上り): 1231 m
累積標高(下り): -1231 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間25分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
ガリバー旅行村(40分) →八ツ淵滝(90分*)→広谷(45分)→細川越(50分)→山頂(15分)→コヤマノ分岐(45分)→イブルキノコバ(10分)→広谷(90分*)→八ツ淵滝(30分)→ガリバー旅行村
ガリバー村から武奈ヶ岳へのコースは、登山口に看板があり、危険箇所が記載されています。八ツ淵の滝の岩場は、天気関係なく滑落の危険性があるので細心の注意が必要。ガリバーショップ前のポストに登山届を投函してからスタートしましょう。
大摺鉢までのルートは、目印が数カ所あるのでわかりやすいですが、道中には崩壊寸前の斜面もあるので要注意。歩き進めると次第に沢の水量は増していき、鎖場の渡渉を越えると大摺鉢に到着です。
大摺鉢からは、登山道に巻かれたピンクの目印を頼りに進んで行くといいでしょう。広谷までのルートも渡渉があり、途中林間コースに入りますが、基本的には沢沿いの道を進むことになります。
広谷分岐からは沢を何度か横断しながら細川越方面へ。小屋がいくつか見えてきて登山道に埋まった木道を通過すると、細川越に到着です。細川越にある看板は壊れているので、この先の進路は要注意!
細川越から険しい森を進むと稜線へ。山頂を間近に見すえながら歩き、急勾配の登山道を越えると頂上に到着です。
下山ルートは八雲ヶ原方面を通る方も多いですが、危険個所が多い難路となるため、選択する際には十分注意するようにしてください。
ガリバー村へのアクセス方法はこちら
●車の場合
【大阪から】
阪神高速13号東大阪線 ー 阪神高速11号池田線 ー 名神高速道路 ー 京都東IC ー 国道161号ー 県道296号 ー ガリバー村
●電車・高速バスの場合
大阪(JR 京都線快速・米原行)ー 京都駅(JR湖西線・永原行)ー 近江高島駅 (江若交通・高島線バス) ー ガリバー旅行村
【駐車場情報】
登山者用駐車場(ガリバー村)
住所:滋賀県高島市鹿ケ瀬
駐車台数:約50台
料金:400円(管理棟で支払い)
武奈ヶ岳周辺の観光情報
四季折々で違った表情を見せる比良山系の武奈ヶ岳。周辺にはさまざま観光地があるので、自然景観だけでなく、滋賀の歴史や文化にも触れることができます。ここでは、武奈ヶ岳周辺の観光情報を厳選してご紹介するので、ぜひ足を運んでみてくださいね!
日本一の湖、琵琶湖
日本で最大の湖である琵琶湖。面積は約670平方キロメートルで、約1,000種の動植物が生息しています。水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に対する条約、ラムサール条約の登録湿地にも指定されている湖です。
電話番号:077-528-3353(滋賀県琵琶湖環境部環境政策課)
琵琶湖の情報
琵琶湖西にあるパワースポット、白髭神社
近江最古の神社として有名な白髭神社。1603年建立の歴史と伝統から、国の重要文化財にも指定されています。琵琶湖にたたずむ優雅な鳥居が何ともロマンチックな光景。
住所:滋賀県高島市鵜川215番地
電話番号:0740-36-1555
料金:無料
見学期間:〈湖上鳥居のライトアップ〉土曜・日曜:日没後の約2時間、大晦日:夜明けまで、1月1日~5日:日没後から21:00まで
ユネスコ世界文化遺産、比叡山延暦寺
日本仏教各宗派の開祖を育てたことから、母山寺院としても名高い比叡山延暦寺。東には琵琶湖の雄大な景色が広がり、西には京都の格式ある町並の眺めと抜群のロケーションです。比叡山延暦寺は「東堂」「西塔」「横川」と3つにエリアに分かれています。
住所:滋賀県大津市坂本本町4220(比叡山延暦寺総務部)
電話番号:077-578-0001
料金:〈巡拝料〉東棟・西棟・横川 大人700円、中高生500円、小学生300円、〈国宝殿拝観料〉大人500円、中高生300円、小学生100円。※各料金団体割引あり
見学期間:〈東棟〉3月~11月 8時30分~16時30分、12月 9時~16時、1月~2月 9時~16時30分、〈西棟・横川〉3月~11月 9時~16時、12月 9時30分~15時30分、1月~2月 9時30分~16時
琵琶湖が望める絶景スポット!緑が美しい武奈ヶ岳
コースの選び方で難易度が変化する武奈ヶ岳は、涼しい沢沿いからブナ林を楽しむこともできれば、上級者向けのコースを選ぶこともできます。大パノラマが広がる山頂は、琵琶湖が一望できる絶景スポットで開放感抜群!まだ登ったことがないという方は、一度、滋賀の観光も兼ねて、小高い山の武奈ヶ岳に登ってみてはいかがでしょうか?
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。