本当に富士山は噴火するの?
どっしりと落ち着いた様子からは中々想像することができませんが、富士山は噴火する可能性がある活火山です。これまでのどういった頻度で噴火がおこり、またこの先はどうなるのか?その実態を探ってみたいと思います。
噴火する?しない?

富士山は国内に110ある活火山の一つで、長いスパンで見ると約5000年前から続く活動期にあります。最後の噴火から約300年経過しており、いつ噴火してもおかしくはない状況にあります。また、大規模な地震と連動した噴火が記録されていることから、東日本大震災の影響も心配されています。
富士山の噴火の歴史
富士山の火山活動は約70万年前の小御岳火山から始まり、約10万年前の古富士火山を経て、約5000年前からは新富士火山として現在に至っています。有史以降記録に残る噴火は、781年(奈良時代)以後17回、最後の噴火は1707年(江戸時代)の宝永大噴火と言われており、その後は約300年間平穏を保っています。
富士山が噴火したらどんな危険があるのか?
現在でも日本各地で大小規模の噴火が起こっています。それでは火山噴火が起きた場合、どのような危険があるのでしょうか。
20cmの「噴石」が10km先に飛んだことも
噴火時に火口から噴き出る岩石を「噴石」と言い、大きな噴石は火口から勢いよく飛来して建物の屋根を破壊します。噴石の被害は火口から半径2~4kmに集中しますが、1707年の宝永大噴火では、大きさ約20cmの噴石が10km先まで到達した記録があるので、油断は禁物です。
時速100kmを越えることもある「火砕流」
溶岩ドームの崩壊などによって起こる火砕流。高温の火山灰や岩塊が水蒸気などと一体化して、山の斜面を高速で流れ落ちる現象です。温度は数百度に達し、流下速度は100km/hを越えることも。流出域では建物が破壊され、巻き込まれた場合は死を免れ得ない恐ろしい火山現象です。
「熔岩流」の温度は1200度になることも
火口から流れ出たマグマを溶岩流と言います。数百度~1200度と非常に高温で家屋や木々を燃やしてしまうほか、道路を寸断することもあります。ただし、火砕流と比べ流下速度が遅く(人が歩く程度のスピード)余裕をもって逃げることができます。
一気に流れ下る「融雪型泥流」
雪が積もった火山が噴火をした場合、融雪型泥流の危険があります。これは火砕流などが雪を溶かし、大量の水となり土砂や火山灰を巻きこみながら、流下する現象です。谷底や沢沿いを勢いよく流れふもとまで到達、田畑や人家を飲み込み広範囲に被害をもたらします。
人に大きな危害を与えることもある「火山ガス」
火山ガスはマグマに溶けた気体成分が火口から噴き出したもので、成分の多くは水蒸気で、これに二酸化炭素や硫化水素などが含まれます。成分の構成によっては、動植物に有害な場合もあり、火山ガスを吸い込んだ人が、その場で中毒死したケースもあります。
その他、噴火の衝撃によりガラスなどが振動する「空振」、岩が落ちる「岩せつ雪崩」、熱せられた地下水が爆発する”「蒸気爆発」などの危険性もあります。また、噴火の影響で最も生活に影響を与える災害のひとつである「火山灰」についても説明していきます。
広い範囲で被害をもたらす「火山灰」とは?
火山灰は直径2mm以下の噴石のことで、物を燃やした後に残る灰とは形も性質が異なり、火山ガラス、岩石の欠片、鉱物結晶などが含まれています。風に飛ばされて広範囲に広がりやすく、農作物やインフラに打撃を与えるばかりか、人体にも悪影響をもたらします。
火山灰がもたらす人体への影響
火山灰はガラスや鉱物の小さな粒であり、拡大するとギザギザとした形であることがわかります。これを吸い込んだり、目や皮膚に付着したりすると様々な障害を引き起こすことが分かっています。
【呼吸器系】
小さな粒状の火山灰は、呼吸をすることで空気と一緒に肺の奥まで入り込みます。それにより息苦しくなったり、咳が増えたり、喘息のようにゼーゼーと息が荒くなったりなどの症状が現れます。
【皮膚】
火山灰が皮膚に付着するとベタベタと張り付き、その後腫れたり痛くなったりなど炎症を起こす場合があります。またひっかき傷からバイ菌が入ることもあるので注意が必要です。
【目】
火山灰が目に入るとゴロゴロとした異物感、目の痛み、かゆみ、充血などの症状が出ます。目に傷ができると結膜炎を発症する場合もあります。コンタクトレンズのひとは外してメガネを使ってください。
火山灰がもたらす生活への悪影響
【建物】
火山灰が屋根に積もると家屋を押しつぶしてしまうことがあります。また、雨などにより水を含むとその重量はさらに増します。
【農作物】
葉に降灰することによって、植物に不可欠な日光が遮られます。また、火山灰の成分によっては植物を枯らしてしまう場合があります。
【電子機器】
火山灰が機器内部に侵入すると静電気により内部に付着、誤作動や故障などのトラブルを引き起こします。
【飛行機】
火山灰がエンジンに吸い込まれると、異常燃焼が起こり最悪の場合エンジンが停まってしまします。そうした理由から降灰エリアでの飛行は禁止するルールがあり、飛行機は利用できなくなります。
【電車】
電車のレールに灰が積もりスリップの原因になったり、運転手の視界不良や、信号機などの故障など安全な運行が妨げられる恐れがあります。
【車】
降灰による視界不良や、積もった灰によるスリップの恐れがあります。高速道路の多くは通行止めとなり、流通にも悪影響を与えます。
【上下水道】
浄水場などから人体に有毒な成分が飲み水に混入するリスクや、火山灰が大量に排水されることで、下水管が詰まるなどの障害が起こります。
【電気】
火山灰が送電線に堆積し絶縁不良となり、その結果停電を引き起こしてしまった事例が過去に報告されています。
【小売店】
上に挙げたような交通インフラの遮断や、停電、農作物の不作など、小売店へは短期的にも長期的にも大きな影響を及ぼします。
【医療活動】
物流が麻痺することによる、医療物資の不足や、また救急車やドクターヘリなどが運行できなくなり、迅速な救助を行えなくなる危険があります。
富士山が噴火したらどれだけ危険?
それでは富士山が噴火した場合、どのような被害や危険性が想定されるでしょうか。内閣府が発行する「富士山火山防災マップ」がその参考になります。
富士山の麓は火砕流や熔岩流、噴石に要注意
富士山を中心にした半径15km範囲には、富士吉田市、御殿場市、富士宮市などの市街地があります。このエリアは噴石、火砕流、溶岩流などの危険があります。噴火は山頂ばかりではなく山腹から起こることもあるので、噴火する場所によって被害が出る地域が異なってきますので注意が必要です。
首都圏でも火山灰が降ってくる
季節や風向きによって変わりますが、火山灰は偏西風に乗って遠く東京まで到達すると予想されています。その降灰量は富士山の麓周辺で約50cm、東京の全域や千葉県の一部でも約2cm程度積もると予想されています。2cmの降灰は、道路や鉄道でスリップ事故が起きたり、農作物が1年間収穫できないなどの影響があります。
もしもの時のために準備しておくこと
頻繁に噴火を繰り返す火山でもない限り、噴火をするとどうなるか、またどのように備えたらいいのか分からないのが実情ではないでしょうか。もしもの時のためのどんな準備をしておくべきか見ていきましょう。
避難行動のシミュレーションをしておこう!
ハザードマップでは過去の噴火データや地理的な情報から、どの範囲にどんな危険があるか示されていますので、事前に確認しておきましょう。また自治体などの情報を事前に確認し、避難指示が出たときにどこへ避難すればよいか確認しておくことも大切です。そして、それらの情報を家族で共有しておくことも忘れずに。
災害情報をいつでも手に入れられる状態にする
ツイッターなどのSNSは、災害時の情報収集に役立てることができます。政府や各行政機関の公式アカウントは、事前にフォローしておくと良いでしょう。また通信各社が用意している、災害用伝言掲示板や災害伝言用ダイヤルなどのサービスは、事前に使い方を確認しておくといざという場面でも安心です。
もしもの噴火のために準備しておきたい非常用持ち出し品
噴火災害の際に役に立つグッズをご紹介します。地震などの防災用品と合わせて準備しておいてはいかがでしょうか。
■スワンズ|浮遊粉塵用セーフティゴーグル YG-6000
サングラスやゴーグルの大手メーカー山本光学の作業用防塵マスクです。火山灰対策として役立ったとのレビューが数多くあります。衝撃に強いポリカーボネイトレンズを採用し、メガネの上からでも着用できます。
スワン 浮遊粉塵用セーフティゴーグル(YG-6000)
●仕様:紫外線カットレンズ・ワイドビュー・レンズ交換可・回転式ベルト・マスク併用可・エラストマークッション
●材質:フレーム/エラストマー・PP、レンズ/PET AF(2.4mm)
■商品重量91 g
■3M|Vフレックス 防じんマスク 20枚入 レギュラーサイズ
厚生労働省が定めた国家検定に合格した防塵マスクです。高いフィルター性能を備え、顔にピッタリとフィットして空気中の有害物質を遮断します。大きなフィルターで呼吸がしやすいのもこの商品の特徴です。
■IZANO|防災用 たためる ヘルメット
イザノメット 防災用たためるヘルメット
折りたたみ時サイズ:幅220 × 奥行303 × 高82mm
頭囲の目安 :約55〜62cm
重量:450g
材質:ABS樹脂
■Relieved Life 防災グッズ 防災セット 2人
防災に必要なアイテムを網羅した全82アイテムと収納用のリュックがセット(2セット)になりました。東日本大震災で救援活動に従事した現役消防士が特別監修した防災マニュアルが付属しています。
Relived Live 防災セット(2人用)
不気味な沈黙を続ける富士山
富士山の最後の噴火である宝永大噴火、その49日前には記録に残る日本最大級の地震宝永大地震がありました。これは南海トラフを震源にした地震と見られています。実際に巨大な地震の後に噴火が起こるケースは、世界中で記録があります。いざと言う時のために、必要な準備をしておいてはいかがでしょうか。
【参考】