トレランの必需品、ランニング用バックパック
様々なものがあるトレランのギアですが、その中でも特にロードと大きく異なるのはランニング用バックパックではないでしょうか。簡単なウエストポーチくらいで事足りるロードと違い、トレイルでは水分、食料、シェル、ファーストエイドキットなどを自分自身で持ち運ばなくてはならないので、非常に重要です。
今回はそんなランニング用バックパックの選び方のコツ、種類、メーカーをご紹介していきます!記事を参考に自分に合うものを探してみましょう。
ちなみに前回の記事ではトレランを始めるならやっておきたいことをまとめていますので、これからデビューを考えている方はぜひ読んでみてください。
ランニング用バックパックとは
ランニング用バックパックは、ロード、トレイルを問わず、走る時に使いやすいように造られています。デザイン・容量も様々で、飲み物とシェルを持つだけくらいのシンプルなものから、10L以上の容量があり、ハイドレーションやストックなど色々な物を携行できるよう造られたものまであります。
使用する目的によって選ぶものは変わりますが、探してみると実に色々なモデルがでてきますよね。何も知らずにいきなり選ぶのは大変ですので、僕の経験談を交えつつ選ぶときのコツを紹介します。
まず第一に! 100%快適な選択はあり得ない
いきなりツッコミが入りそうな出だしではありますが、ここがかなり重要です。もちろん、100%に限りなく近づけていくことはできます。では、残りの数%が埋まらない理由はどんな所にあるのでしょうか?
① 走る距離
どんなに合っているなと思っていたバックパックでも、100km越えの長距離レースなどでは違和感を感じることがあります。短時間にせよ長時間にせよ、何も背負ってない方が楽なのは当たり前です。
② 大は小を兼ねない
初めてバックパックを買う時に、後々いくつかの容量が必要になるかもしれないと考える人はほとんどいないと思います。実際僕が初めて購入を検討したときは、レースはもちろんトレーニングでも使えて、会社から自宅までの帰宅ランでも使えるマルチに使えるものが良いなと考えて探していました。
帰宅ランで使えるものとなると結構な容量のものが必要で、僕が選んだのは15Lでした。この選択は、帰宅ランで使用するという意味では正解でした。ではレースやトレーニングでは? 初めて出るレースでこの容量が必要になる訳もなく、トレーニング時もそこまで持っていくものはないので、荷が少ないせいでバックパックが安定せず不便な思いをしました。
もちろんそれがダメと言う訳ではありませんが、容量ひとつとっても適材適所があるので、自分がどんな場面で使いたいのか考えておくのをオススメします。あらゆるシーンにおいて、同じ満足度で使えるバックパックはない!と肝に銘じましょう。
試着は必ずすべし!
当たり前すぎるかもしれませんが、これも非常に重要です。ほとんどのバックパックはサイズが選べ、さらに調整ができるようになっています。とはいえ、体格はひとりひとり異なるので満足いくまで試した方が◎! 店頭では荷物を入れた状態で試着もできるので、実際の使用感にかなり近くなりますよ。
水分はどう補給する?
水分の補給方法は、大きく分けて2種類あります。フロントポケットにボトル、ソフトフラスクが入るタイプと、背面にハイドレーションを背負うタイプです。両方使えるタイプもありますが、ボトルの位置や使えるボトルのタイプ・容量は異なるので、用途に合ったものを選びましょう。ちなみに、各タイプの特徴も簡単にまとめておきます。
ボトル(画像左)
容量は大体500ml前後のものが多く、水を入れるときはふたを開けるだけで簡単です。ボトル自体が固いので中身が無くなっても形が崩れません。人によってはポケットに入れたときに体に当たるのが気になるかもしれません。
フラスク(画像右)
容量は150ml~500ml程度と幅があり、少な目のものにジェルを入れて携行するランナーもいます。ボトル同様水を入れるのはふたを開けるだけで簡単ですが、しっかり締めないとこぼれたり、慣れないと若干開け閉めしにくいかもしれません。
使わないときはかなり小さくできるので、持ち運びのしやすさはピカイチです。ただし、使用時は水が無くなってくるとしぼんでくるので、フロントポケットの奥に入ってしまい引っ張り出さないと飲めないということもあります。
ハイドレーション(画像真ん中)
容量は大体1L~2L程度。ボトル、フラスクに比べ飲む動作は一番楽にできます。その代わり、サーバーを背面に背負っているため、水の補充はバックパックを下して行わなくてはならないので手間がかかります。
また、水が減ってくるとサーバーが揺れるため、バックパックの調節が必要です。こう書くと手間ばっかりのようになってしまいますが、ボトルやフラスクと違いポケットから落ちることもなく、体へ当たるストレスも少ないので、ロングレースのようになるべくストレスを減らしたい時などは活躍してくれます。
最後に迷ったらデザインや色で気に入ったものを選ぶ
容量やサイズを選び、試着をすると、いくつか候補が決まるかと思います。これだ!というものを決めかねるなら、見た目で気に入ったものを選びましょう。1度目で理想のバックパックに出会えることはほぼ無いということと、見た目が好みの方が長く使えて愛着も沸きやすいからです。
バックパックの種類とメーカー
続いてはバックパックの種類と、代表的なメーカーをいくつかご紹介していきます。メーカーはここに挙げたものが全てではないので、ご自身で色々探してみるのも面白いですよ!
ベスト型~5L
ベスト型は背負うと言うより着る感覚で使えるパックです。ベスト型を含めた容量の少ないパックは、携行するものが少ない短距離のレースや、長距離でも最小限の装備で走り切れるエリートランナーにオススメです。
5L~10L程度
オールマイティに使いやすく、各メーカーの商品量も多い容量帯です。普段のトレーニングはもちろん、中~長距離のレースにオススメです。
10L以上
10L前後はランニング用という感じですが、15L近くになるとどちらかというとファストパッキング向けのモデルが増えてきます。装備品の増える長距離レースにオススメです。帰宅ランなど荷物が多い場合は、15L~20L程度のモデルから探してみてはいかがでしょうか。
続いては、どんなメーカーがあるのか見ていきましょう。
GREGORY(グレゴリー)
バックパック専門メーカーとして有名なグレゴリーでは、数は少ないですが長年の開発経験で培ったノウハウを活かしたモデルがラインナップされています。特に、有名プロトレイルランナー石川弘樹氏協力の元アップデートされたルーファスは、初心者から上級者まで幅広い層に支持される人気モデルです。
OMM(オーエムエム)
「オリジナルマウンテンマラソン」という山岳マラソン競技で使用することを前提として開発された製品をラインナップしているメーカー。OMMのマラソンパックは8L~25L程度が主力で、長距離を走ったり、荷物を多く持って走ることの多い方にオススメです。
PaaGoWORKS(パーゴワークス)
日本発のメーカー、パーゴワークス。ランニング用バックパックのRUSHシリーズは、日本全国のショップやランナーの声が反映されたモデルであり、まさに日本人のためのモデルとなっています。容量も色々と選べるので、特にフィッティングにこだわりたい方はチェックしてみましょう!
SALOMON(サロモン)
トレイルランニング関連で最も有名なメーカーと言っても過言ではないサロモン。世界各国に多くのプロトレイルランナーを抱える同社では、エリートランナーの意見がふんだんに取り入れられたS/LABシリーズを始め、入門者にも扱いやすいモデルまで様々な製品がラインナップされています。
ULTIMATE DIRECTION(アルティメイトディレクション)
ベスト型のハイドレーションパックの草分け的な存在で、30年以上も前からウルトラマラソンやアドベンチャーレースのような、長距離レースのためのパックメーカーとして活動しています。モデルの数こそ多くはありませんが、プロトレイルランナーのシグネチャーモデルなど、完成度の高いバックパックが揃っています。
UltrAspire(ウルトラスパイア)
2011年アメリカのユタ州で生まれた新興メーカー・ウルトラスパイア。創設者の25年以上に及ぶ豊富なハイドレーション製品の開発経験や、自身の様々なランの経験により優れたバックパックを世に送り出しています。その中でも、ウルトラスパイアの日本人初シグネチャーモデルのベースにもなったザイゴスは、あらゆるレースに使えると高い評価を得ています。
相棒選びは慎重に!
バックパックはレースをはじめ、トレーニング中も最初から最後まで背負い続けて走るものです。完全に合うものに出会うまでは時間はかかりますが、一番最初に買う場合は、少しでもストレスなく使えそうなものを選びましょう。口コミを見たり、人からアドバイスをもらえば知識を得る事はできますが、合うか合わないかは結局自分次第。ギア探しも醍醐味のひとつと割り切って、トレランライフを楽しみましょう。
次回はシューズについてご紹介する予定です。お楽しみに!