岩手県最高峰の「岩手山」とは?

標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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2038.2m | 岩手県八幡平市・滝沢市・雫石町 | 15.3℃ | 3.1℃ |
岩手山(いわてやま)は、薬師岳(標高2038.2m)を最高峰とする、岩手県で最も高い山です。東斜面のみが美しく裾を引くことから「南部片富士」とも呼ばれ、古くから人々の信仰の対象にもなっています。
中腹より上は、国指定天然記念物「岩手山高山植物帯」を有しており、高山植物の宝庫です。また、特別天然記念物「焼走り熔岩流」が形成された東西2つの火山が複合した山で、現在もその火山活動は続いています。
岩手山の山開きは?
岩手山の山開きは毎年7月1日に行われ、滝沢市、八幡平市、雫石町3つの市町村合同で開催されます。岩手山の1年の安全祈願やテープカットを行った後、登山者たちが一斉に山頂を目指します。
岩手山の登山適期は?

登山適期は6月下旬から10月上旬です。7月から8月頃までは、豊富な高山植物や可憐な花を楽しむことができます。9月下旬から10月下旬には紅葉のシーズンとなり、真っ赤な絨毯を敷き詰めたような景観は必見です。冬山シーズンは山頂の形状から道迷いしやすいため、上級者向けとなります。
岩手山は活火山。火山情報も確認を!
岩手山は静穏状態が続いていますが活火山です。火口付近では火山ガスなどが発生しているので、念のために最新の状況を確認したうえで登山をしましょう。
※姥倉山~犬倉山~大地獄付近は特に火山活動に注意してください。
岩手山をより楽しむための見どころ紹介!

山頂は360度の大展望で、盛岡市内をはじめ八甲田山や、遠くは鳥海山を望むことができます。山頂からの眺望以外にもチェックしておきたい、岩手山の魅力を紹介します。
雄大な岩手山と麓に広がる熔岩流

噴火時に山肌を流れるままに冷え固まった熔岩から成る「焼走り熔岩流」は、岩手山の北東斜面の山腹から山麓にかけて広がっています。焼走り熔岩流は、比較的新しいため風化せずに噴出当時の地形を留めており、国の特別天然記念物に指定されています。
国指定天然記念物の「岩手山高山植物帯」

火口を含む頂上と9合目の不動平は高山植物帯として国指定天然記念物に指定されています。7月から8月にかけてコマクサをはじめとする様々な高山植物が咲き乱れ、登山者の目を楽しませてくれます。
冬はウィンタースポーツでも人気

山麓には岩手高原スノーパークや網張温泉スキー場などのゲレンデがあります。冬は雪山登山だけでなく、最高の雪質でスキーやスノーボードも楽しめることはもちろん、スノーシューなどのアクティビティも人気です。
せっかくならば、キャンプ&温泉も楽しもう!

岩手山には7つの登山口がありますが、いずれもすぐ近くにキャンプ場や温泉があります。せっかくならば、1泊延ばしてみるのもおすすめですよ。
登るだけじゃない!離れた場所からでも楽しめる岩手山

どの方向から見ても、雄大で美しい岩手山。菜の花をはじめコスモス、「小岩井農場の一本桜」など季節の花と岩手山を一緒に眺めることのできる撮影スポットもたくさんあります。
岩手山の天気と地図をチェック
登山前には地図で歩くルートの確認と、直前の天気予報を必ず確認しましょう。
岩手山の登山指数
日付 | 10月01日 (日) | 10月02日 (月) | 10月03日 (火) | 10月04日 (水) | 10月05日 (木) | 10月06日 (金) |
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登山 指数 |
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登山指数の留意点
登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。
- 雷の発生の可能性
- 前日の天気による道のぬかるみ
- 局地的大雨
- 土砂災害の発生の可能性
- 雪崩の発生の可能性
- 噴火の可能性
- 積雪の有無
- 濃霧
- 低温または高温
- 虫やヒルなどの発生状況
山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。
データ提供元:日本気象株式会社
岩手山周辺の山と高原地図
どこから登る?個性豊かな7つの登山コース

岩手山には7つもの登山口があります。入山・下山で異なる登山口を組み合わせることで、多彩なルートを楽しむことができます。今回は各登山口からの山頂まで登り、同じ登山口へ戻る「往復ピストンコース」を紹介します。
コースによっては距離が長いルートもあるので、体力に自信のないひとは無理をせず、1泊2日でゆっくり楽しむのもおすすめです!
【各コースの往復コースタイム】
①柳沢コース:8時間
②焼走りコース:8時間50分
③上坊コース:7時間
④御神坂コース:9時間10分
⑤七滝コース:11時間50分
⑥松川コース:11時間10分
⑦網張コース:11時間55分
①柳沢コース|馬返し登山口から登る人気ルート
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 638 m
累積標高(上り): 1607 m
累積標高(下り): -1607 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:8時間(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい

初級者にもおすすめの岩手山の代表的な登山ルートです。馬返しキャンプ場の奥から登っていきます。
2合目の途中から新道(林道中心)と旧道(岩場中心)に分かれ、7合目で合流します。天気やレベルによって道を選んで、安全に登山を楽しんでください。
八合目避難小屋の前には「御成清水」と呼ばれる水場があり、美味しい水で一息つくのに最適。標高が進むにつれ遠く盛岡の街並みや北上山地などの展望が開け、眺望を楽しむことができます。
②焼走りコース|コマクサの可憐が群落を愛でる
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 572 m
累積標高(上り): 2009 m
累積標高(下り): -2009 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:8時間50分(往復)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要

眺望がよく高山植物も楽しめる人気の焼走りコース。熔岩流の全容や東東北を一望することができる第2噴火口跡からの眺めは壮観です。
噴出口の先の樹林帯を抜けるとコマクサの群落が現れます。コマクサの見頃は6月下旬頃。ツルハシ分れから40分ほどで山頂です。
③上坊コース|最短にして最急登。厳かなる信仰の道
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 696 m
累積標高(上り): 1641 m
累積標高(下り): -1641 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい

祠が多く存在し信仰登山の厳かな雰囲気が漂う上坊コース。1,600m付近までは樹林帯の急登が続きます。
平笠不動避難小屋の直前で視界が開け、晴れていれば岩手山の山頂を目にすることができます。平笠不動避難小屋から40分程で山頂です。
④御神坂コース|樹林&ガレ場の変化に富んだルート
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 603 m
累積標高(上り): 2836 m
累積標高(下り): -2836 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:9時間10分(往復)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要

御神坂登山口からしばらく作業道を進みます。ひたすら樹林帯を登ります。
ガレ場に出たらロープや矢印に従って慎重に進みましょう。鬼ヶ城分岐から不動平避難小屋を経て山頂へ。
⑤七滝コース|滝の迫力!豪快で男らしい景観が魅力
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 601 m
累積標高(上り): 2230 m
累積標高(下り): -2230 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間50分(往復)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要

七滝登山口からのコースは滝や大地獄谷、湿原や火口湖など見所が満載。落差20mを越える七滝は迫力があり、紅葉の時期の美しさは壮観です。
沢沿いに進む尾根道を進むとやがて蒸気吹き出す大地獄谷分岐へと出ます。大地獄分岐から不動平避難小屋を通り過ぎれば山頂まであと少しです。
⑥松川コース|秋のブナ紅葉など絶景がお待ちかね
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 860 m
累積標高(上り): 2606 m
累積標高(下り): -2606 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間10分(往復)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要

松川温泉が登山口となっています。ブナの巨木が多いこのコースは秋には艶やかな紅葉を楽しむことができます。
姥倉山を過ぎれば展望が開け、そびえ立つ岩手山を目にしながら山頂へ向かいます。
⑦網張コース|リフトを使えば時間短縮も可能
最高点の標高: 1999 m
最低点の標高: 761 m
累積標高(上り): 2802 m
累積標高(下り): -2802 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間55分(往復)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要

網張スキー場が登山口です。状況やレベルに合わせて1320m付近までリフトを使うこともできます。その際、リフトの運行状況を必ず確認しましょう。
ダイナミックで荒々しい奇岩の鬼ヶ城を経由すれば抜群の眺めを堪能できます。ただし切り立っているので細心の注意を払いましょう。
岩手山の山小屋情報
岩手山には通年で利用できる山小屋がいくつかあります。どのコースもそれなりの距離があるので小屋を利用して、1泊2日での行程を考えるのもいいでしょう。
八合目避難小屋

その名の通り岩手山八合目に建つ山小屋です。避難小屋のため予約なしで利用可能。小屋の前には御成清水が湧いており、乾いた喉を潤してくれます。ただし湧き水のため枯れていることもあるので、水場として利用する場合は確認が必要です。
不動平避難小屋

不動平分岐の脇に建つ無人の避難小屋で小屋内にトイレがあります。水場はないので泊まる場合は必要に応じて用意しましょう。
平笠不動避難小屋

茶臼岳付近に建つ山小屋です。水場はありませんが、トイレは使用できます。
各登山口へのアクセス&駐車場情報
岩手山の登山口へのアクセスは基本的にクルマが便利です。公共交通機関の場合はタクシーもしくはローカルバスの利用となります。運行スケジュールなど事前に確認しておきましょう。
①馬返し登山口
【クルマの場合】
東北道「滝沢」IC―県道278号―馬返し登山口(約8km)
【公共交通の場合】
JR「盛岡」駅ータクシーで馬返し登山口(約35分)
②焼走り登山口
【クルマの場合】
東北道「西根」IC―国道282号―県道233号―焼走り登山口(約7km)
【公共交通の場合】
いわて銀河鉄道「盛岡」駅-「好摩」駅にてJR花輪線に乗換-「大更」駅よりタクシーで焼走り登山口(約15分)
いわて銀河鉄道|公式サイト
③上坊登山口
【クルマの場合】
西根IC(東北自動車道)―国道282号―県道233号―上坊登山口(約10km)
【公共交通の場合】
いわて銀河鉄道「盛岡」駅-「好摩」駅にてJR花輪線に乗換-「大更」駅よりタクシーで登山口(約15分)
いわて銀河鉄道|公式サイト
④御神坂登山口
【クルマの場合】
東北道「滝沢」IC―国道282号―県道278号―県道219号―御神坂登山口(約39km)
【公共交通の場合】
JR「盛岡」駅より岩手県北バス乗車-「御神坂駐車場前」バス停下車
岩手県北バス|公式サイト
⑤七滝登山口
【クルマの場合】
東北道「松尾八幡平」IC―県道45号―県道23号―県道212号―七滝登山口(約11km)
【公共交通の場合】
JR「盛岡」駅より岩手県北バス乗車-「県民の森」バス停下車
岩手県北バス|公式サイト
⑥松川コース登山口
東北道「松尾八幡平」IC―県道45号―県道23号―県道212号―松川コース登山口(約16km)
【公共交通の場合】
JR「盛岡」駅より岩手県北バス乗車-「松川温泉」バス停下車
岩手県北バス|公式サイト
⑦網張登山口
【クルマの場合】
東北道「滝沢」IC―国道282号―県道278号―県道219号―網張登山口(約21km)
【公共交通の場合】
JR「盛岡」より岩手県北バス乗車-「網張温泉」バス停下車
岩手県北バス|公式サイト
登って眺めて岩手山を満喫しよう!

夏は高山植物、秋は紅葉に冬の雪景色など四季折々の魅力をみせてくれる岩手山。豊富な登山コースを組み合わせて、ゆっくりと雄大な自然を堪能するのがおすすめ。7つある登山口からお気に入りを見つけてくださいね。