日本を代表する霊峰・富士山
誰もが知る日本一の山・富士山もパワースポットの1つです。富士山は有史以来度々噴火してきたことなどから人々に畏怖の念を抱かせる存在で、富士山には神が宿っていると考えられてきました。
山を神聖視し、神が宿っているとして崇拝の対象とする信仰のことを山岳信仰といいます。山の多い日本では、富士山をはじめ全国の様々な山で山岳信仰が盛んにおこなわれてきました。そして、信仰の対象となったり、神を祀ってある山を霊峰と呼び表し、「霊峰富士」とされる富士山はその筆頭として知られています。
こうした経緯から、富士山がパワースポットとされているのも自然なことだといえます。
山岳信仰は日本だけじゃなかった!
神道では、神が宿るとされている山岳信仰の山を「神体山(しんたいさん)」といいます。つまり、霊峰と称されている山のことですね。実は、山に神が宿るという神体山の考えは日本に限らず世界中にあり、有名な山でいうとエベレストやキリマンジャロも神体山なのです。
そしてこの富士山を含めた世界の山々の中で、それぞれの国や地域、民族の間で神体山とされたり、宗教上の重要な出来事が起きた神聖な場所として崇拝されている山を7つ集め、「世界七大聖山」としています。
霊峰や名峰がずらり。強大なパワーを秘めた世界七大聖山
富士山同様山岳信仰が強く根付いている山、そして大自然のエネルギーを取り入れられるような、冒頭で紹介したパワースポットの条件に当てはまる世界の山々のうち、特に強大なパワーを持つ世界七大聖山。その山々を紹介します。
エベレスト(ネパール)
標高8,848m、世界最高峰として知られ、多くの登山家や探検家を惹きつけて止まない名峰です。山頂はネパールと中国との国境上にあり、1953年にエドモンド=ヒラリーとシェルパ族のテンジン=ノルゲイによって登頂されました。エベレストは、ヒマラヤの山岳地帯に暮らす少数民族のシェルパ族が信仰している山岳信仰の山でもあります。美しくそびえる姿を見せると同時に、時には厳しい自然の力を見せつけることから、畏れ敬われてきました。
マチュピチュ(ペルー)
マチュピチュは、ペルーのアンデス山脈に属するウルバンバ谷に沿った標高2,430mの、ワイナピチュ山とマチュピチュ山を結ぶ尾根上にあるインカ帝国の遺跡です。文字を持たず記録が残されていないため、正確には何の遺跡か分かってはいませんが、現在の研究結果では、インカ帝国が太陽を神様として崇拝していた事実や遺跡の構造などから、神として崇めている太陽の動きを観測するための建築物の集まりであると推測されています。
富士山(日本)
先ほども紹介した通り、日本最高峰の富士山は、古来より神が宿っているとして信仰されてきた山岳信仰の山です。祀られている神は浅間大神。諸説ありますが、一般的には日本神話に出てくる女神のコノハナノサクヤヒメのことであると言われています。江戸時代には富士講と呼ばれる民間信仰も盛んになり、多くの人が登拝するようにもなりました。信仰の山として人々の心に崇敬の念を抱かせることや、様々な芸術の源泉にもなったことが評価され、2013年には世界文化遺産に登録されました。
シナイ山(エジプト)
正確な場所は諸説ありますが、アフリカ大陸とアラビア半島に挟まれたシナイ半島に位置する標高2,285mの山だと古くから推定されており、モーセが神から十戒の啓示を受けた場所とされ、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教といったアブラハムの宗教によって神聖視されています。神の啓示を受けた、つまり神様が降り立った聖なる地として扱われているので、山岳信仰とは違います。シナイ山の山頂からのご来光を目的に世界中から様々な宗教の人が登っています。