スカイツリーと同じ高さの名低山「岩殿山」とは?
標高 | 所在地 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
---|---|---|---|
634m | 山梨県大月市 | 26.8℃ | 16.9℃ |
岩殿山(いわどのさん)は、山梨県大月市にあり、露出した岩肌が特徴の634m(スカイツリーと同じ標高)の山です。
岩殿山山頂からは富士山の大展望が広がるため、「山梨百名山」「秀麗富嶽十二景」にも選定されている名低山です。JR中央線の大月駅から岩殿山の山頂までは、約1時間程度で登れるため、初心者はもちろん、ファミリーにもおすすめの山です。
さらに楽しみたい人は、山頂から先の兜岩(かぶといわ)、稚児(ちご)落としまで足を延ばしてみましょう。スリリングな鎖場や断崖絶壁の岩は、迫力満点です!
岩殿山の天気は?
標高が634mと低いため、天候はあまり地上と変わりませんが、稜線上で展望が開けると風が強い場合もあります。
1月~3月は雪が積もる場合もあります。春は桜が美しく、秋は紅葉が山肌を染めます。早春から初夏、初秋から晩秋にかけてが気温もちょうどよく快適な登山をすることができます。
岩殿山へのアクセス
公共交通の場合
JR中央線「大月」駅下車(JR新宿駅から中央線利用で約90分)
クルマの場合
中央道「大月」IC−国道20号−国道139号
写真で詳細解説!岩殿山~稚児落としコース
岩殿山から稚児落としまでの登山コースを、スタートから下山まで、写真入りで詳しく紹介します。全体的にコースはよく整備され、指導票も頻繁にあり、危険な鎖場は迂回路(巻き道)もあるので快適に迷わず登山ができます。
※以下写真での紹介ルートは2018年取材時のものになります。現況と異なる可能性があるので、最新のルートを確認ください
スタートはJR大月駅から
JR大月駅の改札を出ると背後に岩殿山がそびえています。
駅を出て右手には観光案内所があります。岩殿山の地図や、アクセス・登山道情報から温泉、周辺の観光情報などを教えてくれるので立ち寄ってみましょう。
商店街
岩殿山への登山口へは、駅の改札を出て左の商店街(黄色の焼肉屋が目印)を通っていきます。
線路を渡って東京電力を左
道標に従い、線路を渡ります。
東京電力を左に曲がります。
次は道標に従い右に曲がります。
国道139号
大月市合同庁舎を過ぎると国道139号にぶつかるので、信号を渡り、高月橋を渡ります。高月橋を渡ったら、道標に従い右の坂道を登っていきます。高月橋を渡った左手には岩殿山公園駐車場もあります。マイカーで岩殿山山頂までの登山であれば、ここに駐車しておくといいでしょう。
高月橋を渡り、振り返ると富士山が!
岩殿山登山口
高月橋を渡り、3分ほど登ると岩殿山の登山口があります。
富士山展望
登山口から数分歩いただけで、この富士山の大展望が広がります!
ふれあいの館
「ふれあいの館」には、大月市出身の山岳写真家の巨匠、白籏史郎氏の写真が展示されています。トイレは、ここが最後になるので、済ませてから登りましょう。自動販売機も設置されているので、水分が心配な人は購入できます。正面にある階段から登っていきます。
岩殿山山頂への道
登山道はきれいに整備されているので、富士山展望を楽しみながら登れます。
5月の登山道には、マルバウツギの花が可憐に咲いています。
分岐
稚児落としへの分岐を岩殿山方面に進みます。
天然の岩門
巨大な岩を利用して城門があったとされる場所を通過します。
岩殿山山頂
岩殿山山頂からは、大月市と富士山の大展望がのぞめます。
標高634m、スカイツリーと同じ高さです。
岩殿山には城跡が随所にあります。時間に余裕があれば、山頂周辺を回ってもいいでしょう。
山頂でランチタイム
山頂には、東屋がひとつとベンチが二つあります。空いていない場合でも、山頂周辺にはなだらかな斜面があるのでランチタイムをとるといいでしょう。
分岐
山頂で休憩したら、来た道を分岐までいったん戻り、今度は稚児落とし方面へ向かいます。岩殿山への整備された登山道とは違い、稚児落とし方面は、本格的な登山道となります。
はじめの鎖場
最初の鎖場を上から見たところ。迂回路もあるので、鎖場が怖い人、高所恐怖症の人は林間コースを行くといいでしょう。岩場に窪みがあり鎖もあるので、しっかりつかみながら登れば大丈夫です。
鎖場を登った後、再び富士山の展望が開けます。
2回目の鎖場・兜岩
2回目の鎖場です。最初の鎖場より高度感と難易度が増すので、心配な人は右の林間コースに行きましょう。
兜岩のトラバースは下が切れ落ちているので、高度感があり恐怖を感じます。
今回のコース上、最大の難所(迂回路もあるのでご安心を)、兜岩の垂直の登りです。岩の凹凸や木の根、鎖を頼りによじ登ります。ちょっとしたロッククライミング気分が味わえます。
ちなみに……兜岩を迂回する林間コースでも急斜面を降りる箇所があります。
天神山
「稚児落とし」の標識通りに進んでいくと天神山がありますが、樹林の中にあり、特に特徴がありません。
祠
天神山を過ぎると小さな祠があります。
祠の前からは、再び富士山の展望が!祠の後ろの登山道に戻り、稚児落とし方面へ向かいます。
稚児落とし
「この先危険」の看板の右横を通り岩場を慎重に進みます。「稚児落とし」の大岩壁は、ダイナミックで高度感が恐ろしいです。大岩壁を見た後は、再び樹林の中に戻り階段を登ります。
分岐を浅利・大月駅方面へ進みます。
稚児落としの大岩壁を恐る恐るのぞきます。
下山
山旅も終盤、稚児落としから大月駅方面へ下っていきます。下りにも1か所鎖場が出てきます。滑らないように慎重に通過しましょう。大月駅方面の標識に従っていき、民家が見えたら、登山道が終了します。ここから車道を40分ほど歩いて大月駅へ戻ります。
途中、頻繁に大月駅の案内板があるので迷いません。車道を下っていくと、中央道が頭上に見えてきます。
中央道をくぐると分かれ道があります。大月駅へは、左の細い道を進みます。浅利橋を渡り、坂道を登っていきます。坂道を登り右へ進み民家を抜けると駅の歩道橋が見えてきます。駅へは、歩道橋を渡ります。
駅前には、ソフトクリームなど販売している喫茶店があるので休憩するといいでしょう。東京方面の電車の本数は少なめなので一息つく前に時刻表をチェックしましょう。
岩殿山登山ルート概要
最高点の標高: 607 m
最低点の標高: 331 m
累積標高(上り): 1350 m
累積標高(下り): -1350 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:3時間50分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
戦国時代の名城・岩殿城の歴史とは?
戦国時代には難攻不落とうたわれた山城「岩殿城」があった山でもあります。城主は武田氏の重臣・小山田氏。NHKの大河ドラマ「真田丸」では、武田勝頼が織田に攻められ最後に岩殿山に逃れようとするも、小山田氏に裏切られたシーンが登場します。しかし織田に寝返った小山田氏も結局「主君を裏切るとは何事!」ということで、織田に処刑され岩殿城は落城します。
「稚児落とし(ちごおとし)」の悲しい由来
1582年,岩殿山城は織田軍に攻められて落城します。城主だった小山田信茂が織田によって処刑された後、次男(賢一郎)と信茂の側室(千鳥姫)とその子(万生丸)は,小幡太郎に連れられて逃亡を図ります。
声が反響する谷ということから「よばわり谷」と呼ばれていた場所まで無事に逃亡できたことを喜ぶ小幡,賢一郎,千鳥姫ですが、彼らの声に赤ん坊の万生丸が目を覚まして急に泣き出してしまいました。すると、小幡は、織田軍に居場所を知られて、賢一郎の命が危ないと恐れ、容赦なく万生丸を断崖絶壁の下へ放り投げたという伝説があります。これが「稚児落し」の名前の悲しい由来です。
岩殿山の歴史を感じる山旅へ
岩殿山は、歴史もあり、富士山の大展望もあり、途中の兜岩の鎖場もあり、最後には稚児落としの大岩壁もあるという、低山ながらも変化がありとても楽しく魅力的なコースです。ぜひ天気の良い日に訪れてみて下さい!