視界全てが白の世界!「ホワイトアウト」の中で起きている6つの事とその対策

2022/10/11 更新

雪や霧、雲に包まれて視界一面が真っ白になってしまう現象「ホワイトアウト」。ホワイトアウトが起きる要因や、体が感じる異変をご紹介します。リスクをきちんと把握し、対策方法を確認しましょう!

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YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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アイキャッチ画像撮影:田村茂樹

「ホワイトアウト」とは?

ホワイトアウトした視界
撮影:YAMA HACK編集部
「ホワイトアウト」とは、名前の通り、雪や霧、雲に包まれて視界一面が真っ白になってしまう現象のこと。特に雪山の中で強烈な吹雪や地吹雪でホワイトアウトになると、足元まで真っ白になり、ほとんど身動きが取れなくなってしまうこともあります。

雪山登山のリスクとして取り上げられがちですが、スキー場のゲレンデや雪国の街中、夏山でも濃霧などによって起きる事があります。

ホワイトアウトの原因となる3つの要因

霧によるホワイトアウト
撮影:田村茂樹
ホワイトアウトと一口に言っても、その原因は様々。大きく次の3つに分けられます。
①暴風雪・暴風雨
②地吹雪(降り積もった雪が強風によって舞い上げられる状態)
③濃い霧
さらに降雪(①)+濃霧(③)というケースなど、さまざまな原因が折り重なることも。
風や低温も伴うと危険度が高くなるため、注意が必要です。

ホワイトアウトになった時に感じる6つのこと

実際に編集部スタッフが山の中でホワイトアウトを体験したときに感じた、6つの危険な要素をご紹介します。

①方向感覚が狂う

ホワイトアウトで狂った方向感覚
撮影:田村茂樹
普段は意識しませんが、自分が向いている方角は、周りの景色をもとに相対的に認識されています。

しかし、周り全てが真っ白になってしまうことにより、自分とそれ以外の物との位置関係が認識できなくなり、向いている方向がわからなくなってしまいます。

②平衡感覚が狂う

上り坂
出典:PIXTA
方向感覚がなくなることはなんとなくイメージできると思いますが、実は平衡感覚も鈍くなってしまいます。中にはくらくらしたり、気分が悪くなってしまう人も。

編集部スタッフがホワイトアウトにあった兵庫県の氷ノ山山頂付近は、なだらかな雪原。地図上での自分の位置から緩やかな上り坂を登っているのはなんとなく分かっていても、自分が登っているのか下っているのか、平たんな道を歩いているのかを把握することが非常に困難に感じました。

③距離感が狂う

ホワイトアウトで距離感が狂う
撮影:YAMA HACK編集部
ホワイトアウトになると、自分の周りに本当に少しだけ、かろうじて見えるものがある程度の視界になります。コンパスでは方向は分かっても、目的地への距離が分かりません。周りの景色から自分の位置を把握できないため、目印があってもそれが真っ白な空間に浮いているように見えてしまい、正確な距離感を把握するのが難しくなってしまいます。

また、遠くが見えないので、たくさん歩いた気になってしまう(歩いた距離を過大評価してしまう)場合もあるため、注意が必要です。

④まっすぐ歩けなくなる

八甲田山
撮影:YAMA HACK編集部
進む方角がわかっていても、それがほんのわずかでもずれていた場合、距離を稼ぐほどに大きく進路が変わってしまいます。

また、利き足や身体のバランスによって、まっすぐ歩いているつもりでも無意識に進む方向は曲がってしまいます。視界良好であれば直進方向にあるものや景色から自分がまっすぐ歩いているかを把握して補正できますが、コンパスの矢印しか進む方向の目印がない場合、その精度は低くなってしまいます。

⑤仲間や登山道が見えなくなる

ホワイトアウトで仲間や登山道が見えなくなる
撮影:YAMA HACK編集部
特に酷いホワイトアウトに遭遇した場合、自分の足元が見えるだけということさえあります。こうなると、パーティーを組んで登山をしても前の人がかろうじてわかる程度になってしまいます。

また、登山道を歩いていても先の様子やマーキングが見えないため、ちょっとした獣道や踏み跡などでも登山道と勘違いして迷い込んでしまうこともあります。

⑥トレース(足跡)がすぐに消える

消えた足跡
撮影:YAMA HACK編集部
雪山登山では夏山のような登山道はなく、自分の踏み跡が帰りの道しるべにもなります。

しかし、雪が激しく舞っている状態では自分がつけた足跡に雪が積もり、ものの数分で消えてしまうことは珍しくありません。

ホワイトアウトの対策

万が一、入山中に「ホワイトアウト」に見舞われたらどうするべきでしょうか。事前にできる対策と、実際に山での対策に分けて準備しておきましょう。

事前の対策

①天気を確認しておく
山の天気は変わりやすいため、入山前に天気予報は必ず事前に確認しておきましょう。天候だけではなく、風速の確認も大切です。



②ナビゲーション表を作っておく
万が一の時でも正確にこれから進む道を把握するため、地図読みやGPSとは別にナビゲーション表を準備しておきましょう。地図上にポイントとなる地点を定め、進行方向の磁北線に対する角度、距離、標高差などを予め測って記入しておくことで、通常の地図読みよりも正確に進むことができます。

ナビゲーション表
提供:田村茂樹(ナビゲーション表例。阿倍奥、七人作りの峯~ハチビツ山~大谷嶺)

山の中での対策

①常に自分の現在地を把握する
自分の位置を確認する登山者
撮影:YAMA HACK編集部
ホワイトアウトは樹林帯よりも見晴らしの良い雪原で起こるイメージが強いですが、実はどこでも起こり得ます。周り一面が真っ白になってしまうため、何も対策をしなければ立ち往生するしかなくなってしまいます。常に周りの景色を把握し、地図上での自分の位置を把握しておくようにしましょう。

行き帰りが同じルートの場合には、時々振り返って帰りに見える景色を確認しながら登るとよいです。

どの方向にどの程度歩けば避難小屋や風雪をしのげる場所がある、と自分でわかっていれば、急な視界の不良でも焦らずに対応することができます。

もし周りに何もなく方向がつかめない、または、雪庇や崖などの危険がある場合は無理に行動せず視界が回復するのを待つのも有効な対策のひとつです。

ただし、体を冷やすことになるため、服を着こんだり、必要に応じてツェルトや雪洞などを設営してビバークできる態勢を整えるなどしましょう。

ビバークの方法は必ず事前練習をしておいてください。実際にビバークせざるを得ない状況に追い込まれても、一度でもやったことがあることをやるのと一度もやったことがないことをやるのでは大きな違いです。


②焦らない、急がない
ホワイトアウトでも平静を保つ
撮影:YAMA HACK編集部
突然視界が真っ白になってしまったら不安になるのは自然なことですが、焦って進んでしまってはそれまで把握していた自分の居場所を見失ってしまうだけではなく、体力・精神力を消耗してしまいます。

また、方向感覚を失い、無意識の内に円を描くように同一地点を彷徨い歩いてしまう、リングワンデリングのリスクもあります。

ビバークする時のことも考えて、体力を残しておくこともとても重要です。まずは焦らず、立ち止まってみましょう。

③GPSを持ち歩こう、地形図判読の技術を身につけておこう
登山地図
出典:PIXTA
現在地を把握するための基本は地形図とコンパスを使う方法ですが、特徴に乏しい地形や岩場など細かい地形が連続する地形の中で視界がなくなってしまうと、地図とコンパスだけで常に現在地を把握するのは特に難しいものです。

雪山登山をする場合は、地図と併せてハンディGPSを持ち歩き、自分の居場所を把握したり進む方向を決める補助としましょう。今はスマホアプリなどもありますが、風雪のなかでは起動や操作が難しくなるので要注意です。

また、GPSマップであっても現在地は「地形図」上に表示されるため、地形図を読む技術は必要です。必ず事前に身につけておきましょう。

④ロープでお互いを結ぶ
視界が極端に狭いなど、パーティの仲間とはぐれるリスクがあるときには、お互いをロープで結んで行動するのも有効です。

それでも、この瞬間しか見られない景色があるから・・・

美しい雪山の景色
撮影:YAMA HACK編集部
ホワイトアウトは雪山だけではなく、濃霧や豪雨でも起こり得る山のリスク。事前の対策や落ち着いた対応は当然必要ですが、その時、その場所でしか出会えない美しい景色もたくさんあります。山で起こり得るリスクの一つとしてしっかり把握し、対策・準備をしたうえでぜひ登山に挑戦してみてくださいね。

記事監修:登山ガイド 田村茂樹氏

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