黒部峡谷「下ノ廊下」とは?

ちなみに、黒部湖から上流は「上ノ廊下」、さらに薬師沢小屋から黒部川の最上流までを「奥ノ廊下」と呼びますが、どちらも沢登りの要素が入ってくるため、通常の登山装備のみで行くことはできません。
下ノ廊下ができるまで

また、下ノ廊下を歩く場合、一般的には仙人谷から欅平までのびる「水平歩道」もセットで歩くことになります。こちらも下ノ廊下と同様、断崖絶壁が続く上級者コース。どちらも緊張感のある平坦な道で、ピークを登らないのが特徴です。
事故多発地帯!
うっかり躓いたり、岩にザックが引っ掛かってバランスを崩すとそのまま滑落してしまい、まず助かることはありません。落石による事故も近年発生しているため、ヘルメットを持参するのがおすすめです。必要な装備・技術は?
通常の登山装備に加え、落石用のヘルメット、雪渓の通過に不安がある場合はアイゼンを持っていくのがおすすめです。クライミングや沢登りなど特別な技術は必要ありませんが、絶壁に作られた狭い道を長時間歩くため、ダブルストックは厳禁。登山道沿いに張られた番線を意識しながら集中力を長時間持続させることが必要になります。また、水平歩道では照明のない真っ暗のトンネルを通過するため、ヘッドランプは必ず忘れないようにしましょう。開通時期は?
峡谷ということもあり、雪解けが遅く、7,8月の間は通行自体ができません。例年9月中旬から10月にかけて整備が行われ登山道が開通しますが、残雪の量によっては開通しない年も。開通状況は道中にある阿曽原温泉小屋や富山県警察の山岳情報を参考にしていくようにしましょう。なお、富山県警察山岳警備隊や関西電力の開通情報は下記の通り、開通検査後の発表となります。より詳細なコースの情報は阿曽原温泉小屋のHPチェックや問い合わせるのがおすすめです。
富山県警察山岳警備隊、関西電力などから発表される開通情報については、ルート整備工事完了後の開通検査が終わった時点で発表されます。あくまでも工事が完了したかどうかの検査ですので整備終了後直ちに検査に入るものではありません。開通情報と実際に整備が終わっているかどうかは別と考えてもらって構いません。
また、開通検査が終了したからといって、関係機関が通行の安全を保障するものではありません。
下ノ廊下の天気は?
エスケープルートのない下ノ廊下は天候を見誤ると致命的です。中心エリアとなる阿曽原温泉付近の天気を事前にチェックしておきましょう。てんきとくらす(阿曽原温泉の天気)
紅葉の見ごろは?

ルート紹介
黒部ダム~欅平までの南北に伸びる長い道のりのルートが最も一般的です。今回は黒部ダムからスタートするルートをご紹介します。エスケープルートがなく、常に緊張感の必要な道が連続するため、十分に体力と経験を積んだうえで臨むようにしましょう。合計距離: 29.53 km
最高点の標高: 1534 m
最低点の標高: 597 m
累積標高(上り): 5942 m
累積標高(下り): -6839 m
最高点の標高: 1534 m
最低点の標高: 597 m
累積標高(上り): 5942 m
累積標高(下り): -6839 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:12時間40分
- 【技術的難易度】★★★★★
- ・岩場、雪渓を長時間継続して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術に加え、撤退などの判断能力ができる
2日目:阿曽原温泉(125分)→折尾谷(80分)→トンネル(110分)→欅平駅
急坂は黒部ダムから登山道に降りる最初の道と最後の欅平駅までの下り道ぐらいですが、1日目が約14.7km、2日目が約9.3kmと非常に長い道のりです。V字になった峡谷の道を歩くため日照時間も短く、できるだけ早く出て早く目的地に到着する必要があります。

※2019年からはトロリーバスに代わり電気バスが導入されます。











【山小屋情報】
阿曽原温泉小屋
営業期間:7月中旬~10月29日の宿泊まで
住所:富山県下新川郡宇奈月町浦山1402-2
TEL:0765-62-1148
料金 | |
---|---|
1泊2食付き | 10000円 |
素泊まり | 7000円 |
テント場利用料 | 800円 |
テント場利用者の入浴料 | 700円 |
阿曽原温泉小屋


志合谷をすぎて欅平まで近くなると対岸に見えてくるのが、堂々とした奥鐘山。奥鐘山の西壁はクライマーから「黒部の怪人」と呼ばれており黒部三大岩壁のひとつにも数えられています。


山と高原地図 剱・立山
下ノ廊下は危険個所が多く、行程も長いため、必ず地図でルートの情報を確認しておきましょう。黒部ダムまでのアクセス方法
下ノ廊下は往復せずスタート地点からかなり離れてしまうため、マイカーでのアクセスはお勧めできません。また、2日間とも長時間の山行となるため、前日のうちに登山口の近くにアクセスし、朝のできるだけ早い時間帯に出発するようにしましょう。扇沢方面からのアクセス
黒部ダムは立山黒部アルペンルート上に位置し、富山県側からは室堂方面、長野県側からは扇沢を目指すことになります。黒部ダムまでのアクセスは室堂方面からの場合、ケーブルカーやトロリーバスなどで何度も乗り換える必要があり時間がかかるため、富山からでなければ扇沢を目指すのがお勧めです。【電車・バスでのアクセス(東京からの場合)】
新宿駅(特急あずさ)→信濃大町駅(路線バス)→扇沢(トロリーバス)→黒部ダム(約4時間30分)
料金:10550円
立山黒部アルペンルート(運賃)
【タクシーでのアクセス】
新宿駅(特急あずさ)→信濃大町駅(タクシー)→扇沢(トロリーバス)→黒部ダム(約4時間20分)
料金:約15590円(タクシーは普通車4〜5人乗り6400円の場合)
信濃町なび(扇沢へのアクセス)
【高速バスでのアクセス】
新宿(高速バス)→扇沢(トロリーバス)→黒部ダム(約6時間40分)※深夜発便のみ
料金:7740円
アクセス信州(扇沢への高速バス情報)
室堂方面からのアクセス
室堂方面からのアクセスは電鉄富山駅から約3時間ほどかかります。【電車・バスでのアクセス(富山からの場合)】
電鉄富山(富山地方鉄道)→立山駅(ケーブルカー)→美女平(立山高原バス)→室堂(立山トンネルトロリーバス)→大観峰(立山ロープウェイ)→黒部平(黒部ケーブルカー)→黒部湖(徒歩)→黒部ダム(約2時間50分)
料金:7950円
室堂方面からアクセスするなら前日入りがおすすめ
立山黒部アルペンルートでのアクセスは始発の時間の影響などもあり、早朝に行程を開始するのは難しいのが現実。前日入りできる場合は黒部湖畔にある「ロッジくろよん」に宿泊しておけば翌日早朝からスタートできます。

ロッジくろよん
知れば知るほど奥深い、黒部の魅力

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先人たちの努力と人間ドラマが交錯する下ノ廊下は、人工的な道でありながら、北アルプスの中でも最も秘境に近い場所です。十分に経験を積んだうえで、長い歴史をかみしめながら歩いてみてくださいね。
【登山時の注意点】
・北アルプスは本格的な山岳エリアですので、しっかりとした登山装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。
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山と高原地図 剱・立山