軽量化対策に最適な固形燃料
軽量化が得意なソロハイカーやULハイカー、トレイルランナーなどのスタイルの人たちによく使われている固形燃料。ポケットサイズの燃料ながら、お湯を沸かしたり調理に使われたりと、登山中のコーヒーやカップラーメン、フリーズドライなどの軽食用に多く活用されています。
とにかく軽量&経済的!いざという時に役に立つ固形燃料
固形燃料の大きなメリットはやはり、
という点。まずはそのメリットについて詳しく見ていきましょう。
①とにかく軽い!
登山で使われるOD缶&バーナーセットは、ガスの残量にもよりますが500g以上はしてしまうものが一般的。
一方、固形燃料と一緒に使うポケットストーブでは、その日に使う燃料だけなので約135g程度と大幅な軽量化が可能です。
また、軽いため常時ザックに入れても気にならず、いざ火が必要という時に使えるお守りグッズにも。山での不測の事態に備え救急バックに入れている人もいたりと、一つ火が起こせるものがあるだけで安心感はありますよね。
(※固形燃料は時間とともに蒸発し小さくなるので、たまに取り替えましょう。また、密閉できる袋に入れると長持ちしやすいです)
②簡単入手&初期導入費が安い!
バーナーorコンロ代 | 燃料代 | 初期導入費合計 | |
OD缶 | 5,000~14,000円前後 | 500円前後 | 5,500円〜14,500円前後 |
固形燃料 | 400円〜800円程度 | 100円〜500円程度 | 500円〜1,300円前後 |
登山用のガスとバーナーを揃えようとすると、やはり初期導入費は高くなってしまいます。一方、固形燃料はコンロが安価なものが多いため、手を出しやすい価格帯。
さらに購入できる場所も、固形燃料は身近にある100円ショップで購入できます。前日の準備中に「ガスの残り少なかった!どうしよう…」という時にも、近所の100円ショップで購入可能なのは、大きなメリットです。
もちろん、ガスに比べてデメリットも
固形燃料には、当然デメリットもあります。
①風に弱い
少しでも風の影響を受けると、炎が鍋からずれたり火力が弱くなってしまい、お湯が沸騰する前に燃料がなくなってしまうことも。風への対策は必須です。
②火力が弱い
ガスに比べて火力が弱く、根菜やお肉など、大量の具材を煮込むのは難しい固形燃料。さらに寒い時季は水温が低すぎてお湯が沸騰しないことも。
しかし、このようなデメリットを知った上でシーンに合わせて正しく使えば、固形燃料はとても便利なギアとなります。
固形燃料の使い方
固形燃料は、正しく使わないと本来のパワーが引き出せなかったり火事の恐れもあるので、取り扱いは十分に注意が必要となります。
ポケット簡易コンロを使用
固形燃料はポケット簡易コンロにと一緒に使います。サイズや種類が様々ありますが、縦7.4×横9.6×高2cm程度のサイズが一番使いやすくおすすめ。ソロでちょっとしたお湯を沸かしたい時やメスティンでお米を炊きたい時にピッタリ収まるサイズ感になっています。
カセットの開き方の角度でお鍋のサイズに合わせて使うことができます。
耐熱物を必ず敷く
ポケット簡易コンロは、テントや机の上など熱に弱いところでは下が焦げてしまう可能性があります。耐熱シートやステンレス製のテーブル、またはそれに変わるものを必ず敷いてください。
筆者は100円ショップに売っていた木のまな板が売られていたりするので、鍋敷きとして利用しています。メスティンに入るサイズなのがとっても便利!
風防で囲う
■風防付きのカセットコンロ
種類による違いを比較!
いろいろな固形燃料がある中で、ここでは有名な3社のそれぞれの重さや燃費・火力の違いを紹介!是非購入の参考にしてみてください。
固形燃料はタブレットタイプとカップタイプ
固形燃料には一般的に、白いタブレット型と、旅館でよく見るような青いカップタイプがあります。
今回紹介するのは以下3種類。
①タブレット型:軍隊も使っているEsbit(エスビット)社のミニタリー用14g
②青色のカップタイプ:ニイタカ社のカエンニューエースE 25g
③青色のカップタイプ:ダイソー社のダイソー25G
それぞれの違いを検証していきたいと思います。
火力と燃費の違い
同条件下でお湯が沸く時間を計測しました。
場所:室内(無風)
気温:24.4〜26.5℃(室温)
水温:15.9〜17.7℃(常温)
分量:180ml
※ガス缶は開始と終了でガス缶の重さを計測、使用したガス量にて算出 ※金額はメーカーサイトやAmazon価格を参照し算出 ※沸騰燃費:固形燃料は1個が燃え尽きるまでで算出
ー沸騰(100℃)になるまでの時間と燃費ー
メーカー | イワタニ (ノーマルガス缶) | エスビット (ミニタリー用14g) | ニイタカ (カエンニューエースE 25g) | ダイソー (ダイソー25G) |
沸騰時間 | 3分04秒 | 5分13秒 | 8分35秒 | 7分22秒 |
沸騰燃費 | 約¥11※ | 約¥100 | 約¥24 | 約¥37 |
燃焼時間 | – | 13分57秒 | 25分13秒 | 27分10秒 |
お湯が沸騰するまでの時間はガス缶が一番早いですが、固形燃料だけを見るとエスビットが最速。燃費を考えるとニイタカが良い結果となっています。
総合評価
重さも比べ総合的にどれが使いやすいのかをまとめてみました。
ーサイズ・重さ・価格ー
メーカー | イワタニ (ノーマルガス缶) | エスビット (ミニタリー用14g) | ニイタカ (カエンニューエースE 25g) | ダイソー (ダイソー25G) |
沸騰時間 | 3分04秒 | 5分13秒 | 8分35秒 | 7分22秒 |
沸騰燃費 | 約¥11※ | 約¥100 | 約¥24 | 約¥37 |
燃焼時間 | – | 13分57秒 | 25分13秒 | 27分10秒 |
重さ | 375g | 44g(3パック) | 24.7g | 27.4g |
軽量、安さを一番重視するのであればニイタカが一番良い結果になりました。
エスビットは沸騰までの時間が早く、時間を節約したい人にはおすすめですが、単価がとても高いのがデメリット。近くにダイソー等の100円ショップがある人にとっては手軽に手に入れやすい100円均一の商品も使い勝手が良いと言えます。
エスビットを使用する場合の注意!
エスビットは、使用後は鍋の底が汚れるので注意が必要です。ウエットティッシュで拭き取ればある程度キレイになりますがススは若干残るのでお気に入りのギアで使う際はご注意ください。また保管時や燃えている時の特有の匂いもあり、気になる人もいるかもしれません。
固形燃料の活用術
いろいろなメリット・デメリットがある固形燃料ですが、筆者が実際に山で使う時の活用術を紹介します!
ソロカフェ
■ちょっと山頂で温かい飲み物だけ【軽量活用】
ソロでちょっと温かい飲み物を飲みたい時にはとっても便利。シエラカップに1人前の水を入れて固形燃料の上に乗せ、ティーバックやコーヒー粉末を入れるだけでケトル不要で温かい飲み物が飲めます。低山ハイクや、荷物をデポしての山頂アタックの時にも大活躍します!
ソロご飯
■ご飯1合炊き【軽量活用】
放ったらかしで固形燃料1個(20分加熱)でメスティンご飯1合分の炊飯が可能。
水に浸したお米をメスティンに入れ、固形燃料の上に置いて加熱、燃料が切れてから15分間タオルに包んで蒸らせば炊きたてのご飯を作ることが出来ます。途中火を調整したり、炊きあがりの時間を確認しなくても良いので調理中もゆっくり過ごすことが出来とても便利です。
詳しいお米の炊き方についてはこちらの記事もチェック!
本格ヤマメシ
■山で2コンロ!おかずも一緒につくる【効率活用】
ガスと固形燃料を使うことで2コンロ体制で山飯を作ることが可能。上記で書いたようにお米はコンロに掛けている間は放置できるので、別途持ってきたガスコンロで火力の必要なおかず作りに集中できます。ご飯を炊きあがってからおかずをつくるよりは効率的に山飯が作れます。
固形燃料を持って山へ行こう!
ガスと比べて火力は弱いものの、とっても軽くちょっとした時にさっと取り出せてお湯を沸かせる固形燃料はとても使い勝手が良いギア。筆者はここ2〜3年固形燃料でいろいろな山でお米を炊いたり、コーヒーを飲む時に使っています。
風が強い日や雪山では使えないのデメリットがありますが、夏の登山などでは大活躍!比較実験表を参照して自分にあった固形燃料を手に入れ、荷物軽やかにより山を楽しんでみてはいかがでしょうか。