登山届と保険だけで大丈夫?すぐ、確実に遭難者を見つける「新・三種の神器」とは

もし登山中に遭難してしまったとき、山岳保険と登山計画書さえ出していれば大丈夫と思っていませんか?じつはこの2つだけでは、あなたを確実に見つけてくれる保証はありません。さらにもう一つ、すべての登山者に知ってほしい、確実にあなたを見つけ出すための画期的サービスをご紹介します。

アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

「登山計画書」と「山岳保険」は登山者の常識!でも意外な落とし穴が…

登山届
登山届の提出と山岳保険はもはや登山者にとって当たり前のものですが、万が一遭難したときに、本当にそれだけで安心だと言い切れるでしょうか?改めてこれらの役割を確認してみましょう。

登山計画書の役割
もし遭難して身内から救助要請をした場合、遭難者を捜索するヒントになります。

山岳保険の役割
山岳保険とは、遭難時に救助要請したときの捜索費や入院費、万が一死亡した場合の死亡時のお金などが保証されている制度です。

どちらも大切なことですが、仮に登山計画書を提出していても、広い山の中で遭難者をピンポイントで見つけ出すのは至難の業。冬山ともなれば捜索を打ち切り、春の雪解けまで待つということも珍しいことではありません。

残された家族を待ち受ける2つの悲劇

もし遭難者が見つからず、捜索を打ち切られた場合、残された家族には2つの悲劇が待ち受けています。

①継続的なヘリの捜索はすべて自己負担
https://pixta.jp/
公的機関のヘリであれば現状は捜索費が無料ですが、継続的な捜索は民間のヘリを頼らなければなりません。民間の救助用ヘリは1分1万円ともいわれる捜索費用が発生します。しかも見つかる保証はないので、山岳保険に加入していてもすぐに費用が底をついてしまうことも。
②「死亡」ではなく「失踪」扱い。その意味は……?
なくならない住宅ローン
遭難者が見つからない場合、「死亡」ではなく「失踪」の扱いとなります。失踪は生きている前提で扱われるため、生命保険は適用されず、もしローンでマンションを購入していても団信(団体信用生命保険)が適用されることもありません。所属している会社も短期間であれば有給休暇でしのげますが、長期間になると実質クビの扱いとなり、退職金が発生しないということも。

つまり、万が一すぐに遭難者が見つからない場合、山岳保険に入っていても重い負担がのしかかることになるのです。

もしすぐに見つけられたら・・・そんなサービスがあった!

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撮影:YAMA HACK編集部
「登山者を早く見つけ出すことに特化したサービスがある。しかも格安で。」
これを聞きつけてYAMA HACK編集部が取材したのが会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」を運営する久我一総さん。1日わずか10円という会費の「ココヘリ」に入会すれば、これまでに挙げた負担やリスクは一気になくなるのだそう。

「なぜすぐに遭難者を見つけ出せるのですか?」

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撮影:YAMA HACK編集部
「ココヘリ」とは、より具体的にいうと、”「ヒトココ」という発信機を利用した会員制捜索ヘリサービス”のこと。発信機は会員にレンタルされ、それを持っていれば最大5㎞離れていてもその位置を正確に特定することができます。発信機はわずか20g。コンパクトなのでザックのポケットなどに入れておくこともできます。久我さんによると、最近では全国の警察や救助隊がヒトココの受信機を持つようになってきているので、捜索時に発信機のIDを伝えればすぐに見つけ出してもらうことができるのだそう。

「GPSやビーコンとの違いは?」

電波エリア
ビーコンの電波は数十m程度と狭域のみ、GPSは広域でのざっくりとした特定となりますが、ヒトココは最大5㎞から0mまで探知可能!山域さえ分かっていれば、ヘリで上空からすぐに位置を特定することができます。発信機のバッテリーは3か月もつため、出発前に電源をONにしておけば雪崩や転落で意識を失っていても電波を発し続けることが可能です。

「発信機を持っていくことのほかにしておくべきことはありますか?」

登山届
「家族と警察にヒトココIDと登山計画書を提出しておくことです。」と、久我さん。もし意識があって携帯電話の電波が通じていれば問題ありませんが、山の中は圏外がほとんど。計画通りの日程を過ぎた場合に家族に通報してもらえば、天候などの影響を除いて遭難当日にほぼ確実に発見することが可能なのです。ただし、民間のヘリが出動した場合、すぐに位置が特定できても高額な捜索費用がかかります。山岳保険には必ず入っておきましょう。

遭難対策に備えておきたい、「新・三種の神器」

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撮影:YAMA HACK編集部
登山で必ず持っておきたい三種の神器といえば、「ザック」、「登山靴」、「レインウェア」の3つですが、久我さんが新たに提唱する「新・三種の神器」は「登山届」、「ココヘリ」、「山岳保険」の3つです。
①登山届
通報時に遭難エリアのおおよその場所を特定することか可能
②ココヘリ
遭難者の位置をピンポイントかつ短時間で特定することが可能
③山岳保険
けがや入院、死亡時のお金のほか、民間ヘリによる救助の場合に費用を捻出。

 

この3つを満たしてさえいれば、迅速な遭難者の発見と救出、それにかかる費用をすべて担保することができます。また、登山届を提出する場合は「コンパス」を利用するのがおすすめ。コンパスの登山計画書にはココヘリのID(ヒトココID)を入力する欄があるので便利ですよ。

気になることを聞いてみた

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撮影:YAMA HACK編集部
最後に、サービスについて素朴な疑問をしてみました。

ココヘリは最大5㎞まで捜索可能ということですが、例えば密林や陰になっている場所など、使えないようなシチュエーションはあるのですか?

障害物によって届くエリアがやや狭くなることはありますが、使えなくなるほどではありません。ただ、できるだけ見晴らしの良いところに発信機を置いておく方が効果的です。また、唯一、電波が届かなくなるのは水の中です。浮いていれば問題ありませんが、ここだけ注意してもらえればなと。そのほか、転落などによる破壊が考えられますが、ポケット等に入れておけば問題ありません。

これまでに実際に捜索ヘリが出動したことはあるのですか?

幸いなことに、これまでに捜索のヘリが飛んだことはありません。ただ、万一に備え、月に一度のペースで、全国各地のヘリ提携会社と順番に捜索訓練を実施しています。

最後にココヘリというサービスを始めたきっかけを教えてください。

もともとパナソニックで働いていた時に、ヒトココの基礎になるような仕事をしていて、せっかくなら人の命にかかわるようなものを作りたいと思って始めたのがココヘリです。まずは山岳遭難という最も過酷な環境で実績を上げることで、様々なフィールドに発展させていきたいと考えています。


山岳保険や登山届のように、ココヘリが当たり前の存在になるように

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撮影:YAMA HACK編集部
今年度は、ザ・ノース・フェイスやアークテリクス、ミレーとともに資金を出し合い、全国の高体連(高校体育連盟)山岳部向けにココヘリの初年度年会費と入会費を無償提供しているそう。これから山を盛り上げる新たな世代に、安心して山で冒険できるように、当たり前の存在になっていてほしいという想いのもとの取り組みなのだそうです。

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撮影:YAMA HACK編集部
申し込みはココヘリのHPから行うことができますが、9月以降、Webで登録すればすぐに使える発信機付き申し込みパックを一部の登山用品店で発売予定です。「私だけは大丈夫」という保証はどこにもありません。自分だけでなく、待っている家族や友人のためにもココヘリをもって安全登山を楽しみましょう。

「ココヘリ」紹介動画

ココヘリの公式ページへ

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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